財政経済部は10日、盧武鉉大統領への業務報告で、イラク情勢や北朝鮮の核問題によって景気が急速悪化し、企業の設備投資が萎縮、「最悪の場合は5%の経済成長達成も危うい」と指摘、早急に証券や為替安定策を講じるよう提言した。北朝鮮のミサイル発射で、ウォンが1ドル=1238・5ウオンに急落するなど、新政権の前に経済の緊急課題が山積している。
財政経済部の報告書は、現在のような内外の経済環境が続けば、金融市場に悪影響が及び、安定成長基調が揺らぐと警告している。今年の目標である5%台の経済成長が難しくなるのはもちろん、証券市場、為替市場にも大きな影響が出るとしている。政府内部にはここしばらく「楽観論」が流れていたが、これを完全に覆す内容となっている。
報告書は、「輸出好調にもかかわらず、消費が委縮し投資意欲も減退し、全般的に景気が鈍化している」とし、「今後の経済活動の不確実性が増している」と指摘している。
企業は不透明な景気展望と、新政府に対する不安感から投資を自粛し、一般家庭も消費を減らしており、経済指標が少しずつ悪化している。さらに、国内の株価が大幅に下落し、外国市場よりも下げ幅が大きく、貿易収支の赤字継続、ウォン安、債券金利の下落も危険信号と注意を促している。
財政経済部は、「外国人投資家も政府の対策を注視している。景気の暗転と不安心理の解消のために、政府は積極的な対策を示す必要がある」と強調している。
今回の財政経済部の報告書は、これまでの政府の認識が甘く、対策は「生ぬるい」と批判したものだ。
財政経済部は、政府の今後取り組むべき緊急課題として、「投資活性化」と「証券市場の需要基盤拡充」の二つをあげている。これは、消費が落ち込み、輸出が対外環境に左右される現状では、国内経済を安定させる以外にないという視点に立ったものだ。財政経済部は、投資を活性化させるためには、まず企業に対する規制を緩和しなければならないとし、新政府に対し早急に目に見える経済政策と実施日程を発表するよう求めている。