SKグループの不当内部取引の捜査に乗り出したソウル地検は、今週中にも崔泰源・SK㈱会長を召喚し、事情聴取することを決めた。ソウル地検は、ハンファグループおよびサムスンSDSに対しても捜査を開始することを示唆しており、財界に衝撃が走っている。また、今回の電撃的なSKの捜査は、新政権スタートを目前にした財閥改革の前哨戦とする見方や、現代グループの北朝鮮への不正送金疑惑から国民の関心をそらすための方便ではないかといった憶測も流れている。
検察が提示しているSKグループに対する疑惑は次の3点だ。▽参与連帯(市民団体)が告発したSKとJPモルガンとの株式取引▽崔会長所有のウォーカーヒルホテルの株式売買▽系列社間の不当内部取引。
この中で検察が解明に最も力を入れているのは、崔会長が保有する株式の不正相続だといわれている。検察の捜査で不正が明らかになり、崔会長らが処罰されることになれば、参与連帯が告発しているサムスンなど他の財閥グループの不正相続疑惑に対しても本格的にメスが入るもようだ。
SKに対する捜査が検察の独自の判断によるものなのか、新政権のスタートを控えて政府が財閥改革の青写真にのっとってデモンストレーションのために画策したのか、その辺は定かではない。検察の高位関係者は、「参与連帯の告発を受けて捜査に踏み切ったもので、政界からの圧力や指示はない」と強調している。
しかし、次期政権引き継ぎ委員会の内部からは、「新政府の改革に弾みがつく」と期待の声が挙がっており、検察と政府の間で事前のやりとりがあった可能性は排除できない。
全国経済人連合会(全経連)の新会長に孫吉丞・SKグループ会長が就任し、財界の新体制がスタートした矢先のことだけに、財界は衝撃を隠せないようだ。孫会長が盧武鉉・次期大統領と会談した際に、「新政府の経済政策に積極的に協力する」と約束し、政財界の和解ムードが漂っていた時期だけに、財界は疑心暗鬼を抱いている。
一方、新政権の大きな負担になっている対北朝鮮不正送金問題を打開するための措置ではないかという憶測も流れている。新政権の力と改革の意思を示し、今後の政策を容易に進めるための意図的な捜査という見方も強い。いずれにせよ、財界が懸念しているのは、これをきっかけに、捜査の手が他のグループにも伸びるのではないかということだ。
サムスンは李在鎔・常務がサムスンSDSのワラント債の取得と非上場系列社の株式取得過程でグループ系列社が支援したという疑惑が持たれており、検察が内偵していると伝えられている。ハンファも、大韓生命の買収に伴って粉飾会計をした容疑で、今月初めにソウル地検から役員が事情聴取を受けた。
また、LGもLG化学が保有していたLG石油化学の株式を具本茂会長など8人に安く売却し、会社側に823億2000万ウオンの損失を与えたとして、参与連帯が株主代表訴訟を起こしている。