労使交渉の決裂からストに突入したLGカルッテクス精油の労組は19日、中央労働委員会が職権仲裁決定を下したことに反発し、麗水工場を本格的に占拠し、稼働が全面中断した。会社側は不法ストとして政府に公権力の投入を要請、全面衝突の様相を見せている。民主労総はLGのストに政府が介入したことに反発し、ゼネスト突入を宣言するなど、LG問題が産業界の紛争に発展しそうだ。
LGカルテックス精油の労組は、製油産業では過去に例のない大規模ストを強行した。今月初旬から始まった労使交渉は、労組側が、基本給10・5%引き上げ、4組3交替から5組3交替への転換、非正規職差別撤廃および正規職化、売上の0・01%の地域社会発展基金造成――を要求、これに対して雇用者側は、基本給4・1%引き上げ、成果給200%支給などを提示したが、合意に至らず決裂した。
19日午後、麗水工場のコントロール室29室のうち6室を組合員が占拠し、すべての生産施設の稼働が全面中断した。
LGカルテックスは乗用車、バス、鉄道、航空機、船舶などの燃料の30%を供給し、全国のガソリンスタンドの26%にあたる約2800カ所に石油製品を提供しているため、ストが長期化し、麗水工場の生産中断が続けば、社会に大きな混乱が起きると憂慮されている。
LGカルテックスはガソリン、軽油など、国内石油市場で30%を占める国内2位の石油会社であるため、供給不足と価格の上昇を招き、一般消費者の被害も少なくない。
この事態に対して会社側は、労組幹部2人を業務妨害などの罪で検察に告発し、公権力の投入を要請した。
さらに、麗水工場の再稼働準備を進め、21日に原油精製能力が1日あたり40万バレルの第2工場と第4工場のテスト稼働を始めた。この2工場には、エンジニア担当社員、ストに参加していない社員、退職者など400人が投入された。
LGカルテックスのストは、今年の「夏闘」の最大のヤマ場となりそうだ。21日にはソウルなど4都市の地下鉄労組がストを決行。GM大宇、双竜自動車なども同調してストに突入することを決めた。
政府は20日、緊急対策会議を開いて、LGカルテックスと地下鉄労組のストを不法と断定、法によって厳重処罰すると発表した。これによって、政府と産業界の全面衝突が憂慮される事態になってきた。
石油業界は、LGカルテックスから原料のナフサを調達している石油化学メーカーに大きな支障が出ると懸念している。特に原料を同社に依存している系列社のLG石油化学やLG化学、石油製品を原料にしている第一毛織、暁星、コーロンなどに大きな影響が出るもようだ。