労働者が退職金を一時金として受け取る現行の退職金制度と併行して、満55歳から年金を受け取れる新制度が2006年から実施される見通しとなった。現行の退職金制度は雇用者側の大きな負担になっているが、労働者にもメリットがないことから、労働者の老後の生活を保証する年金制度を導入する。これに対し、財界と労働界は反対の立場を表明しており、大きな論争に発展しそうだ。
政府と与党ウリ党は23日、国会で党政協議を開き、「労働者の退職給与保証法案」を作成、今定期国会で処理することを決めた。同法案によると、2006年から従業員5人以上の企業で勤続1年以上の労働者を対象に、毎月一定額の年金を特定金融機関に積み立て、10年以上の加入で、満55歳から退職年金を支給する。
従業員5人未満の企業で勤続1年以上の労働者については、猶予期間を設定し、2008年以降に大統領が導入時期を決定するとしている。
退職年金は、労働者の年金所得が事前に確定される確定給与型(DB型)と、労働者が積立金の運用実績によって年金額が変わる確定寄与型(DC型)の2種類となる。既存の事業所は、現行の退職金制度と確定給与型、確定寄与型の中から一つを選択することになるが、新設または5人未満の事業所は、退職年金制度の導入が義務付けられる。
確定給与型は、一定額を保証するもので、賃金引き上げ率と基金運用収益率などによって年金額の算定基準が変わった場合には、差額を事業主が負担することになる。一方、確定寄与型は、労働者が積立金を自分で運用するもので、雇用者の負担金は変わらず、労働者の運用収益によって年金額が変動する。
退職年金制度の導入については、すでに昨年の労・使・政委員会で合意しているが、財界は企業の負担が加重するとして反対を表明、労働界も退職金の受け取り額が不安定だとして反対の立場をとっており、実施は難航が予想される。