ハイニックス半導体が、世界7位の半導体メーカー、STマイクロエレクトロニクス(欧州)および中国政府と合弁で中国にハイテク半導体工場を建設する。しかし、ハイニックスのLCD(液晶表示装置)部門と双竜自動車が相次いで中国企業に買収されたため、世界的競争力を持つ半導体が中国に進出すると、韓国のハイテク技術が流出し、中国との技術格差が縮むと懸念する声も多く、論議を呼んでいる。
ハイニックス半導体のメーンバンクである外換銀行は、債権金融機関協議会でハイニックス半導体の中国工場建設案が75%の賛成で承認されたと発表した。債権団の共同管理下にあるハイニックスは、資金不足で投資を抑制してきたが、中国進出を狙っていたSTマイクロとハイテク産業の誘致に積極的な中国政府の呼びかけに応じ、中国進出を決めたという。
これに伴いハイニックスは、今月18日に中国の江蘇省・無錫市当局と工場用地の賃貸契約を締結する。中国工場への投資額は20億㌦(推定)で、12インチ(300㍉)ウエハー工場の建設も含まれており、ハイニックスは技術供与の代価として、2億㌦を受け取ると伝えられている。
12インチウエハーは、既存の8インチに比べて、生産性が2・25倍優れ、サムスン電子、米マイクロン、独インフィニオンなど一部の半導体メーカーだけが技術を確保しているにすぎない。
このため、半導体業界は、ハイニックスの中国進出で、韓国と中国の半導体技術の格差が現在の10年から2、3年に縮まると憂慮している。これに対してハイニックスは、ハイテク製品の設計技術や工程開発技術は中国に出さないと言明しているが、工場が稼働すればハイテク技術の中国への移転は避けられず、今後、物議をかもしそうだ。