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2004/08/06

<韓国経済>物価高・庶民生活を直撃

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    バスや電車が公共料金の引き上げで庶民の体感景気が大幅悪化している

 内需景気の低迷が続くなかで、体感物価指数が2年11カ月ぶりに最高を記録するなど、物価の急騰が庶民を直撃している。7月に電車やバスなどの公共料金が大幅に引き上げられ、政府が物価上昇を主導した形となった。不況と物価上昇が同時に進行するスタグフレーションの懸念も広がってきた。原油価格の高騰が長期化するもようで、「スタグフレショーンの心配はない」としている政府も、対応策に頭を痛めている。

 財政経済部と統計庁によると、7月の消費者物価は6月よりも0・6%、昨年7月よりも4・4%上昇した。庶民が体感する物価指数は、6月より9%、昨年7月より5・8%上昇した。消費者物価(前年同月比)が4%を超えたのは、昨年3月(4・5%)以降、1年4カ月ぶりで、5・8%に達する体感物価指数は、2001年8月(6%)以降で最も高い数値となっている。

 このように7月の物価が大幅に上昇したのは、農畜水産物の価格が暴騰したこともあるが、直接的には、公共料金の大幅引き上げが原因だ。電車(19・6%)、市外バス(12%)、高速バス(8・8%)、市内バス(学生5・7%、一般4・5%)が軒並み上がり、交通料金は平均10%以上もアップした。

 また、エネルギー税制改革によって、LPG(液化石油ガス)価格が自動車用は17・8%、炊事用は6・5%上がった。
 先月の交通料金と石油類の値上げ、公共部門と直・間接的に関連のある分野の物価上昇(0・30%前後)が上昇幅全体の半分以上を占めた。

 一方、交通料金と石油類の値上げと好対照に、国際原油価格の動向とは関係のない下着類、カバン類などが9・0%-20・5%も高騰している。

 政府は、最近の物価上昇が原油価格の高騰によるものだと説明し、これを除外すれば物価上昇率は年間目標値の3・5%水準になり、原油価格が落ち着けばスタグフレーションの心配はないと強調している。

 しかし、韓国のような輸出型経済にあっては、輸入物価の高騰によってスタグフレーションが引き起こされる。今年に入って30%も高騰している原油価格を考慮すると、スタグフレーションの可能性は少なくない。輸出の伸びも鈍化傾向をみせており、今年下期の内需回復も不透明なことから、一気にスタグフレーションに進むと懸念する経済アナリストは多い。

 李憲宰・財政経済部長官は、今月2日に緊急幹部会を開き、原油対策の徹底を指示した。しかし、物価上昇を食い止め、スタグフレーションを防止する有効な処方箋は見当たらず、韓国経済は、大きな試練に立たされている。