今回の大統領弾劾で大きな打撃を被ると憂慮していた企業は、機敏な国政危機管理で、経済的不安は解消されたと政府の対応を高く評価している。韓国経済新聞が、サムスン、LGなど大手企業26社の構造調整委員長と財務担当役員を対象に実施したアンケートによると、92%が「大統領弾劾の企業経営への影響はない」「影響があっても制限的だ」と答えた。しかし、「政局不安が長期化すれば、内需、投資、輸出に悪影響を及ぼす」と危惧しており、政府に対し円滑な収拾策を講じるよう要求した。
企業が最も憂慮しているのは「内需沈滞」で、回答者(26社)のうち20社(69・23%)が今回の弾劾が「内需景気の回復を遅延させる結果をもたらすだろう」と回答した。家計ローンおよび信用不良者問題が解消されない状況で、政治的悪影響を被るという見方が大勢を占めた。
投資関連項目でも、企業は慎重な姿勢を見せている。アンケートに答えた企業の半分以上(53・85%)が「経済不安が拡散するようなら投資計画を再検討する」としている。
外資誘致と外国人の直接投資は、政局不安に敏感に反応するという意見が支配的だった。回答者の8割(80・76%)が「政局の不安が長期化した場合、外資誘致や外国人の直接投資に悪い影響を与える」と答えた。外資誘致は国内政局の不安に敏感に反応するだけに、一人当たり国民所得2万㌦を達成するためには少しでも早い収拾が必要だという意見が多かった。
半面、企業は政局不安が輸出に及ぼす影響は少ないとみている。回答企業の80・76%は「一部の輸出に影響はあるだろうが、経営に打撃を与えるほどではない」と楽観視している。海外の景気が回復に転じているうえ、企業が国際競争力を持っているという自信の表れと分析できるだろう。
結果としては、大部分の企業は政府が危機管理を強化し、国論の分裂による社会不安を抑制すれば、弾劾が企業の経営に与える打撃は少ないとみているようだ。