ここから本文です

2004/02/13

<韓国経済>国際信用度の失墜懸念

  • keizai040213.jpg

    農民団体は、チリとのFTAに反対して国会前で火炎ビンを投げるなど過激な抗議行動を展開した

 韓・チリ自由貿易協定(FTA)とイラク派兵に関する国会の可決が頓挫し、韓国の対外信用度が下落するという懸念が強まっている。特に昨年2月、韓国の国家信用度を「A3否定的」に2段階下げたムーディーズの調査団が10日に訪韓、4日間の調査を行う予定で、信用格付けが下がるのではないかとうわさされている。チリ政府の憂慮も増しており、大きな国際問題に発展しかねない様相だ。

 財政経済部の権泰信・国際業務政策官は10日、「ムーディーズが昨年、韓国の信用格付けを下げたのは、北朝鮮の核開発問題をめぐる韓国と米国の協調体制の不確実性だったが、イラクへの追加派兵が白紙になれば、韓国の信用格付けが下落する可能性が高い」と述べた。

 実際に財政経済部は先週、信用格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の米ニューヨーク本社に高官を派遣し、韓国の信用格付けの上方修正を打診したが、S&Pは「韓国はFTAなど経済政策の執行が遅れている」という理由で否定的な反応を示したと伝えられている。

 韓・チリFTA批准とイラク派兵がさらに遅れ、不透明になればなるほど国際信用評価機関が韓国の信用度を下げる可能性が高く、それによって、韓国経済がさらに厳しい状況に追いつめられると専門家はみている。

 ジェフリー・ジョーンズ駐韓米商工会議所(AMCHAM)名誉会長は、「外国人は今回の事態を見て、韓国政府がFTAを推進する熱意がないと判断するだろう」とし、韓国が今後、中国、日本、欧州などとのFTAをどのように進めるつもりなのか心配だと語った。

 再び批准が先送りされたことに関して、フェルナンド・シュミット駐韓チリ大使は、本国紙とのインタビューで「3度にわたる延期に失望した」とし、延期はリスクの高い決定であり、一日も早くFTAを批准するよう希望すると述べた。