内需の冷え込みが続く中、農畜産物など庶民生活と密接に関係した品目の物価が上昇している。しかし、金融当局は、有効な対策が打ち出せず、ジレンマに陥っている。朴昇・韓国銀行総裁はインフレ防止対策を急ぐ考えだが、景気沈滞のため、金利の引き上げもままならず、突破口が見つけられないままだ。世界経済の好転で国内景気も下期から回復局面に入るとみられるが、これによって物価上昇の圧力が加重すると懸念されている。
財政経済部によると、旧正月の特需と狂牛病(BES)で農畜産物の価格が急騰し、石油類など工業製品上がったことから、1月の消費者物価は前月比0・6%上がり、前年同月比では3・4%上昇した。
特に日常生活と密接な関係にある品目で構成された生活物価指数は前月よりも0・9%、前年同月より4・3%それぞれ上昇し、庶民が肌で感じる物価の上昇率はさらに大きい。
財経部は、旧正月の特需が沈静化し、2月の物価はやや落ち着くと楽観視しているが、流通業界は2月中に醤油、コチュジャン、食用油、ごま油など生活必需品の価格を3%以上引き上げる予定だ。大豆やゴマなどの値上がりで食品メーカーの原価が上がったためで、今後も物価高が庶民の台所を直撃する見通しだ。
朴・韓銀総裁は、物価対策として「物価上昇圧力が少しずつ高まるのに対応して、今年の通貨政策は景気回復と雇用増大に焦点をおき、インフレ抑制策を講じる」と述べている。
しかし、当局の物価安定策は容易ではない。原油価格の上昇、景気回復の遅れ、不動産への市中資金流入、サービス・公共料金の引き上げなど、マイナス要因が多いためだ。
韓銀は物価上昇に備え、金利引き上げやウォン高への誘導を検討しているが、金利を上げた場合は企業の投資が減退し、ウォン高は輸出の減少や企業の採算悪化を招く。しかし、このまま放っておくと、庶民生活がさらに圧迫され、労働界の賃金引き上げ要求などにもつながりかねないことから、金融当局は頭を痛めている。