中国産キムチの中から鉛に続き、寄生虫の卵まで検出された問題で韓中間に通商摩擦が引き起こされる恐れが出ている。韓国政府は、中国産キムチの通関保留措置をとったが、これに対して中国側は駐中国韓国大使館に強く抗議、化粧品などに対する貿易報復の可能性を警告した。4年前にも中国産ニンニク禁輸に対して韓国製携帯電話などの輸入を差し止める報復措置をとり、紛争に発展した記憶が生々しいだけに、事態の先行きが注目されている。
外交通商部と食品医薬品安全庁によると、韓国政府は中国産輸入キムチを検査する過程で、寄生虫の卵が検出されるや、発表前に中国側にその事実を伝えた。すると中国政府は自国側の調査が終わるまでメディアへの発表を遅らせてほしいと要請したが、韓国政府は「発表時期は先送りできない」として、これを拒否した。すると、韓国の食品医薬品安全庁に当たる質検総局安全局の実務者がことに抗議してきたという。
外交通商部関係者は、「これは直ちに貿易報復に出るというものではなく、警告の意味にすぎない」としながらも、「しかし、韓国が中国産キムチの輸入禁止などに踏み切れば、貿易報復を招く可能性は排除できないと述べた。
中国側は、韓国政府がキムチ問題を発表した直後に、質検総局を通じて韓国産化粧品に対する資料を要請してきた。食品医薬安全庁は、「対汗臭除去用化粧品(デオトラント)から環境ホルモンが検出されたという女性環境連帯(市民団体)の資料を求めてきたので、これを送った」と明らかにした。
同庁ではこれについて、「食品、医薬品、化粧品など国民健康と関連する製品の輸出入国は自国民保護のため、製品情報を日常的にやりとりしているが、中国が韓国化粧品の安全情報を要請してきたのはこれが初めてであり、貿易報復準備ではないか」と警戒している。
韓国政府は、2000年に中国産の冷凍ニンニクの輸入が急増するや禁輸措置をとった。これに対して中国政府は韓国製の携帯電話やポリエチレンの輸入を中断したことがある。韓中間の貿易はこの数年に2倍以上に急増しており、昨年は800億㌦近くに達した。この過程で中国産の食品輸入も急増している。