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2005/09/09

<韓国経済>韓国電子通信研・世界で初めて解明

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    「モット転移」の解明で半導体を小さくするなど、さまざまな分野への応用が可能になると期待されている

 電気をほとんど通さない不導体(絶縁体)に微細な電圧を加えると電流が流れる「モット転移」が韓国の研究者たちによって初めて解明された。これは半導体の限界を克服することを可能にする画期的な技術で、実用化されれば100兆ウォンもの市場創出効果があるといわれている。

 韓国電子通信研究院(ETRI)基板技術研究所の金鉉卓博士チームが、電気を通さない「モット絶縁体」に電圧による衝撃を加えると、ある瞬間に導体となる金属・絶縁体転移(モット転移)現象を実験および理論的に立証することに成功したと発表した。

 実験に使用した酸化バナジュウム、酸化ニッケルなどの酸化物は理論的には金属の性質を持つが、電流を通さないため「モット絶縁体」と呼ばれている。

 ETRI研究チームは、1949年にイギリスの物理学者ネヴィル・モット(1977年ノーベル物理学賞受賞)が仮説を発表して以来、56年ぶりにその仮説を解明した。研究チームの論文は応用物理学に関する世界的な学界誌「アプライド・フィジックス・レター」に掲載される。

 研究チームによると、モット絶縁体技術の応用分野は数限りなくあり、この技術を応用して代替素子を作れば、半導体を画期的に小さくでき、各種電気・電子機器からノイズ(雑音)をなくすこともできる。光素子、メモリー素子、熱感知センサー、ディスプレーなどにも応用できるという。

 海外の物理学界は、今回の韓国チームの研究成果について、「現代物理学の神秘が明らかになった」「ノーベル物理学賞の候補になるだろう」と高く評価している。

 研究の中心的役割を果たした金博士は、「モット仮説を究明するため、世界各国で多くの実験を行ったが、電圧の強さを調整するのが困難で、いずれも失敗した」と研究の苦労を語った。