中国の電撃的な人民元切り上げで、ウォン・ドルレートが今年2度目の最大上げ幅を記録したが、一時的なもので、当局が市場に介入せずとも、すぐに沈静化した。影響が懸念された株式市場は持ち合いが続き、コスダック(店頭市場)指数が小幅上昇するなど株価は安定した。各企業は、人民元の切り上げに衝撃を受けながらも、上げ幅が小さかったことに安堵しており、為替管理などの対策を急いでいる。
22日のソウル外為市場は、ウォンレートが前日より14・20ウォン上がり、1㌦=1021・30ウォンで引けた。前日のニューヨーク先物市場(NDF)でウォンが一時1013ウォンまで急騰した影響で、ソウル市場は1020ウォンで取引を開始したが、当局の介入に対する警戒感から落ち着きを取り戻した。政府は市場が始まる直前から介入意思を表明したが、大量のドル買いには動かなかった。
株式市場は人民元の切り上げ、ロンドン同時多発テロなどの悪材料にもかかわらず、安定した動きをみせた。総合株価指数は1074・22で、前日比0・43ポイントの下落にとどまり、コスダック指数は521・51とむしろ0・90ポイント上がった。これに対して市場金利は一斉に下落し、3年もの国債利回りは前日より0・07ポイント下げ年利4・03%をつけた。
専門家は、人民元切り上げでドル安基調は避けられないと分析している。しかし、ウォンについては、予め人民元切り上げが織り込み済みで、大きな変化は起きないと予想している。
一方、企業は、人民元の切り上げ幅が予想外に小さかったことから、胸をなで下ろしている。しかし、今後の追加切り上げの可能性もあり、海外法人の為替対策を強化している。産業界によると、ウォン高の影響で韓国企業の輸出採算性がやや悪化し、中国工場を通じた第3国への輸出も減少する見込みだ。
その半面、対中輸出が増え、中国製品と競合関係にある製品の価格競争力が高まるとみられ、全体的には貿易収支の改善につながると分析されている。
しかし、長期的にみた場合には、リスク要因も少なくない。現代経済研究院は、「人民元切り上げの波及効果」という報告書で、「中国の為替変動幅の拡大で投機性資産の流出入が活発になり、これに伴って不良債権問題など金融不安が深刻化する懸念がある。中国経済がハードランディングするなら、韓国は輸出のみならず経済全体に大きな打撃を受けるだろう」と警告している。