欧州最大の半導体メーカー、STマイクロエレクトロニクス(本社スイス・ジュネーブ)がハイニックス半導体との資本提携に意欲を示し、注目を集めている。ハイニックス債権団によると、同社は、メモリーラインの一部を譲渡することを条件にハイニックス半導体の株式取得を提案しており、今後のハイニックス売却に大きな影響を与えそうだ。
STマイクロは世界ランキング6位で、ハイニックスと合弁で現在、中国に半導体工場を建設している。債権団によると、今年下半期にハイニックス株(74・2%)の売却を予定しているが、STマイクロは、そのうちの5-10%を買収したいと打診してきた。
その代償としてSTマイクロは、自社のNOR型フラッシュメモリー事業の一部をハイニックスに譲渡すると提案しているという。STマイクロンは、ラインとハイニックス株の交換を望んでいるといわれる。
ハイニックスは、従来のDRAMとNAND型にNOR型フラッシュメモリーが加われば、シェアをさらに拡大することができることから、STマイクロの提案を前向きに検討している。株式の譲渡方式は、債権団が保有している旧株を売却するか、新たに新株を発行して割り当てるかのいずれかになるもようだ。
しかし、STマイクロがハイニックスの経営権取得を念頭に置いている可能性も排除できないことから、ハイニックス側は慎重に検討するとしている。
STマイクロが10%の株式を取得すると、近々ハイニックス株の一部を売却する予定の外換、ウリ銀行を抑えて大株主に躍り出る。そうなれば、STマイクロは今後のハイニックス買収戦で有利になると予想される。
STマイクロは、非メモリー(システムLSI)とNOR型フラッシュメモリーを主力事業としてきたが、DRAMとNAND型フラッシュメモリー事業に進出するため、昨年5億㌦をかけてハイニックスと中国に合弁工場を設立することを決めた。STマイクロにハイニックスの買収意思があるかどうかは不明だが、資本参加が実現すれば、他社より買収戦で優位に立つのはまちがいなく、今後の動きが注目される。