内需を主体に成長してきたロッテグループが中国市場への進出を本格化し、グローバル企業への変身をもくろんでいる。ロッテは、新たな成長エンジンを確保するため、流通、製菓、飲料、石油化学など、グループの主力事業を中心に中国での展開を図っており、中国に事務所を開設する一方、現地企業の買収や合弁法人の設立に拍車をかけている。
このようなロッテの戦略は、国内市場が飽和状態に達し、主力事業の成長基盤が弱まっているためと分析されている。中国に進出し、韓中日の東アジア3国をつなぐグローバルネットワークを構築しようというねらいもあるといわれている。
ロッテはこのため、グループを統括する政策本部傘下のワールドチャイナチームを中心に中国にロッテブランドを浸透させる活動を積極的に行っている。中国にテーマパーク「チャイナロッテワールド」の建設を進めているのもその一環だ。
ロッテの関係者は、「中国ではサムスン、LGなどに比べロッテの知名度が低い。ビジネスを円滑にするには、ブランド力を高めることが必要だ」と話す。
ロッテ百貨店は中国進出のため、経営戦略チーム内に「チャイナ・リテール・プロジェクトチーム」を発足した。上海事務所の開設準備を進めているロッテ百貨店は、人材拡充のため、中国語に堪能な職員の採用にも乗り出している。
また、上海で市場調査を行っていたチャイナリテールチームは、北京と広州などを含む購買力のある大都市で百貨店の建設用地を物色している。
内需に専念してきた湖南石油化学は先月、中国・滞坊市に中国のヤシン社と合弁で「ヤシン・ロッテケミカル」(ロッテが25%出資)を設立、PVC添加剤のCPE工場を完工した。これが湖南石化にとって初の海外事業となる。
ロッテ製菓は今年3月末、山東省青島市のクムホ食品有限公司を買収した。チョコパイとキシリトールガムなどを生産し、中国市場に供給する予定だ。