ポスコの浦項製鉄所と光陽製鉄所に次いで、国内で3番目となる高炉からの一貫製鉄所が誕生する。忠清南道は16日、現代自動車グループ系列の現代INIスチールが提出した唐津・松山地方産業団地に対する投資申請書(一貫製鉄所建設)の最終認可を決定した。これによって、30年余りにおよんだポスコの独占体制が崩れることになる。
現代INIスチールは5兆ウォンを投じて唐津郡松山面一体の約316万8000平方㍍の敷地に高炉2基を建設する計画だ。1号高炉が完成する2010年から粗鋼の生産を開始し、翌年の2011年に2号高炉を完工する。すべての設備投資が完工すると、INIは、年70万㌧の粗鋼生産能力を確保できることになる。
INIは現在、古鉄を原料とする電気炉で年間1000万㌧規模の鉄鋼材を生産しており、高炉2基が稼働すると生産能力は年1700万㌧に拡大する。
これによって現代自動車グループは、系列の現代ハイスコおよびBNGスチールなどを含め、2011年には2180万㌧の生産能力を備え、世界6位の鉄鋼グループに浮上するもようだ。
これと関連して、鄭夢九・現代自グループ会長が豪州のBHPビリトン社を訪問、鉄鉱石と製鉄用有鉛炭の供給に関する了解覚書(MOU)を締結した。
一貫製鉄所の建設はグループの成長だけでなく、国内鉄鋼産業の競争力向上をもたらし、雇用創出効果だけでも20万人に達すると予想されることから、韓国経済に大きく寄与すると期待されている。
製鉄所の建設は、現代グループの創業者・故鄭周永氏の悲願だったといわれている。現代は、自動車と造船がグループの主力事業だったが、高炉の建設許可が下りず、必要な鉄鋼材を外部から調達してきたという経緯がある。
現代・起亜自動車の年間生産台数は350万台を超え、現代自だけでも350万㌧の鋼材が必要となっている。2010年には、海外工場を合わせて650万台体制となり、鉄鋼の需要は最低でも650万㌧に達する見通しだ。INIの高炉が完成すると、現代はこれを自社で調達できるようになる。
業界関係者によると、韓国は年間700万㌧の鋼鉄材を輸入しており、INIが2011年に700万㌧の粗鋼生産能力を確保すると、需要が大幅改善し、年間4兆ウォン以上の輸入代替効果が得られる見込みだ。