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2006/06/09

<韓国経済>5月輸出・年間最高の280億㌦記録

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    輸出とは2ケタの伸びを維持し好調だが、ウォン高などの影響で輸出採算性が悪化している(釜山港)

 ウォン高、原資材の高騰、原油高などの輸出環境の悪化にもかかわらず、5月の輸出が280億㌦を突破し、月間で史上最高を記録した。しかし、市場を確保するために出血輸出している企業が多く、輸出の採算性は低下しており、大きな問題となっている。

 産業資源部が発表した5月の貿易統計(通関ベース、速報)によると、輸出は前年同期比21・1%増え、月間で過去最高となる280億1000万㌦を記録した。4カ月連続で2ケタの伸びとなり、輸出の好調が続いている。

 輸入も260億5000万㌦で23・1%増加した。これによって貿易黒字は今年に入って最高の19億5000万㌦となったが、前年同月に比べると1000万㌦も減っている。

 5月の輸出が好調だったのは、石油製品、液晶ディスプレーなどの需要が一時的に増えたためみられる。また、不振だった自動車(14・5%増)や一般機械(12・1%増)、石油化学製品(13・8%増)などが回復し、全体の輸出を押し上げた。

 しかし、主力品目だった携帯電話はわずか5%増にとどまり、鉄鋼も 5・9%減と不振に陥っている。

 問題なのは採算性で、2000年を100として算出した輸出採算性指数は、2005年第1四半期の81から今年の第1四半期には75・2まで下がった。

 輸出単価指数も昨年まで92を保っていたが、今年第1四半期には91・5に下落している。

 これは、市場を確保するため、企業が輸出単価を下げているためだ。産業研究院(KIET)によると、ウォンの上昇分を製品価格に反映した企業は全体の20%にとどまっている。このため、輸出量は増えても、利益上がらない構造になっているとKIETは指摘する。

 サムスン経済研究所も世界経済の成長が鈍化すれば、輸出企業の販路が閉ざされ、ウォン高で価格競争力が弱まっている韓国の輸出が急激に落ち込む可能性が高いと警告している。