サムスン電子が50ナノ工程を利用した1ギガビットDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)を世界で初めて開発、半導体に50ナノ時代をもたらした。
50ナノDRAMは、チップの小型化が進み、データ処理速度も速いため、これまで主としてパソコンに使われていたDRAMが携帯電話やゲーム機などのモバイル機器にも搭載でき、電子業界に革命が起きる見通しだ。
サムスン電子は、2008年第1四半期から50ナノ工程を採用したDRAMの生産に入る計画だ。50ナノの開発によってDRAM市場が爆発的に拡大し、NANDフラッシュに続いてDRAMがすべてのデジタル機器に搭載される時代が到来すると期待されている。
サムスンは、50ナノDRAM市場が2008年に50億㌦、2011年には10倍以上の550億㌦に拡大すると予想している。また、今年の自社のDRAM売上高が、単一品目では初めて100億㌦を突破する見込みだと明らかにした。
これまでDRAMは、主にデスクトップとノートパソコンに使われてきた。チップが大きいこともあるが、安定的な電源の供給によって作動する特性を持つため、小型バッテリーを装着した携帯電話などのモバイル機器には適さなかった。しかし、今回の50ナノの開発によって、世界のDRAM市場は大きな変革を遂げる。50ナノを適用すると、既存の半導体より小さく、かつ電力消費の少ないDRAMを作ることができる。これに伴い、パソコン中心だった用途がすべてのモバイル機器に拡大できる。全峻永・サムスン電子常務は、「50ナノDRAMが本格的に量産されれば、すべてのモバイル機器及びデジタル製品にDRAMが使われるようになる」とし、「パソコンの景気と関係なく、DRAMの無限の成長が可能な時代になるだろう」と胸を張った。
サムスンは、2000年の150ナノDRAMを皮切りに、2001年に130ナノ、2002年に100ナノおよび90ナノ、2004年に80ナノ、2005年に60ナノDRAMを開発。7年連続でDRAMの限界を超え、世界のDRAM技術をリードしてきた。ライバル社よりも1年以上早く次世代技術を開発し、業界の先頭を50ナノ開発で、サムスンはDRAM業界でさらに磐石な地位を固めた。業界2位のハイニックス半導体は66ナノ工程を開発したばかりで、キマンダ(旧インフィニオン)やマイクロンなどは未だ60ナノ工程の開発さえできず、サムスンに遅れをとっている。