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2006/02/10

<韓国経済>サムスンG李健煕会長・私財8000億ウォン社会に還元

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    海外での療養生活に終止符を打ち、5カ月ぶりに帰国した李健煕・サムスン会長(4日、金浦空港)

 サムスングループは7日、李健煕会長一家の私財8000億ウォンを無条件に社会へ還元するとともに、従来進めてきた社会貢献活動の規模を大幅に拡大すると発表した。グループ法務室を分離・縮小するなど構造改革のほか、金融系列社の議決権を制限した公正取引法関係条項に対する憲法訴願とサムスンSDSのワラント債(新株引受権付き社債)に対する贈与税賦課処分の取り消し訴訟など、政府を相手取った訴訟の取り下げを決めた。

 李鶴洙・サムスングループ構造調整本部長(副会長)はこの日、ソウル市内のサムスン本館で記者会見し、「国民の皆様への言葉」を発表。大統領選挙での違法な資金提供、サムスンエバーランドの転換社債の割り当て問題、国家情報機関による盗聴事件などをめぐり、サムスンが物議を醸したことを謝罪し、李健煕会長の私財を提供する方針を明らかにした。

 さらに質疑応答の中で、これまでサムスンがサムスン電子などの中核系列会社の経営権を守る上で脅威になると反対してきた金融産業構造改善法の改正案についても、国会で法案が通過すれば、受け入れるとの立場を表明した。

 李本部長は、「李会長とサムスン経営陣はこれまでの誤った慣行に対する反省とともに、参与連帯など市民団体や国民の皆さんの指摘してきたサムスンのさまざまな懸案について、国民の意を汲み、これらの方針を打ち出した」と述べた。

 サムスングループが政府や市民団体からの要求を全面的に受け入れ、和解する姿勢を示したことで、サムスンに対する圧力やけん制の動き、反発を強めていた世論が友好的な方向へ転じるか注目される。

 李本部長の発表した内容は、▽8000億ウォンの社会基金提供▽公正取引法の憲法訴願及びサムスンSDSのワラント債贈与税賦課処分取り消し訴訟の取り下げ▽社会貢献の拡大▽オンブズマンの機能を備えた「サムスンを見守る会」の運営▽系列社の独立経営強化などを骨子としている。

 過去最大規模の私財提供となる8000億ウォンの社会貢献基金について、李本部長は「エバーランドの社債などの贈与問題が社会的混乱を招いたことに深くお詫びする気持ちから決定した」と説明した。

 私財8000億ウォンは、李会長一家とサムスン系列社が設立した奨学財団の基金4500億ウォンと、昨年亡くなった李会長の末娘の財産など李会長一家が搬出する3500億ウォンで構成される。

 サムスンは、無条件の社会貢献を通じて、これまでの「反サムスン世論」の原因となっていた経営権の世襲議論を終息させたい考えだ。