北朝鮮が国際社会の警告にもかかわらず、核実験を強行した。これによって、開城工業団地や金剛山観光などの南北経済協力事業が中断の危機に瀕している。7月の北朝鮮のミサイル発射以後も、政経分離の原則によって開城工団と金剛山観光は続行されてきたが、韓国政府も今回の核実験は東北アジアの平和と安定を脅かすもので容認できないとの立場を表明している。北朝鮮への制裁措置として米国などが対北支援事業のちゅう段を要求する可能性が高く、対北経済協力事業の見直しは避けられない見通しだ。
開城工団事業の中断など経済制裁について、3日の北朝鮮の核実験宣言時点では、政府は消極的な立場だった。人道的次元で北朝鮮の水害復旧物資(セメントなど)支援も続ける意向だった。しかし、北朝鮮が核実験を強行したことで、事態は一変した。
北朝鮮に対する経済制裁という次元で、米国、日本などが開城工団事業の中断を要求してくるのは必至とみられ、「太陽政策」に対する国内世論の反発も強まっていることから、政府が開城工団事業を継続する大義名分が失われてしまった。
専門家は、状況が悪化すれば、政府も開城工団事業の縮小または中断を決定せざるをえないとみている。実際、核実験強行によって、今月末に予定されていた開城工団の本団地の分譲は無期限延期となった。開城工団の存続自体が危うくなったという分析も出ている。
現在、開城工団のモデル団地には14社が入居し、繊維や日用雑貨を製造しているが、今後の進展状況によっては撤収の可能性もある。業界関係者は、「国際社会が開城工団支援事業の中断を要求してくれば、工場の稼働を諦めるしかない」と話す。
金剛山観光事業にも黄信号が灯っている。北朝鮮のミサイル発射後、不安感から金剛山観光客が大幅に減少した。統一部によると、9月の金剛山観光客は紅葉の季節にもかかわらず2万450人に落ち込み、前月(2万6399人)に比べて22・5%も減った。
今月には約4万人の予約客があったが、核実験宣言以降キャンセルが相次ぎ、事業の先行きが不透明となっている。