ここから本文です

2006/08/11

<韓国経済>企業支配の根源・「循環出資」を強力規制

  • keizai_060811.jpg

    循環出資の禁止に財閥企業は戦々恐々としている(サムスン本部)

 与党ウリ党はこのほど、懸案となっている出資総額制限制度を廃止する代わりに、企業集団(財閥グループ)の循環出資構造を10年にわたって段階的に撤廃する方向で公正取引法を改正する方針を明らかにした。

 ウリ党の蔡秀燦・政策委副議長はこのほど、こうした内容の公正取引法改正案を金槿泰・議長に報告。早ければ今月中にも同改正案を国会に上程する。

 出資総額制限制度は、資産総額6兆ウォン以上の財閥系列社が純資産総額の25%を超えて系列社の株式を取得することを禁止したもので、財界が投資の障害になると廃止を求めてきた。

 これに対して公取委は、出資総額制限制度を廃止する代わりに循環出資(系列企業間でA社→B社→C社→A社というように資本を循環させて企業を支配する形態)を禁止する方向で制度改善を推進してきたが、財界が反発してきた。

 ウリ党の改正案は財界と公取委の意見を折衷したもので、資産規模2兆ウォン以上の企業集団に属する会社に対し「新たな循環出資を禁止する」としている。また、すでに循環出資を行っている企業集団に対しては、毎年、保有株式の10%に議決権を制限、10年後には循環出資を完全に廃止する。

 一方、公取委が大規模企業集団の既存の循環出資に対しても「循環出資禁止」を適用することを検討していることが明らかになり、財閥企業は戦々恐々としている。系列社間の循環出資解消命令が下された場合、サムスン、現代自動車、SK、ロッテ、韓進など主要グループは、解体も余儀なくされるだけに深刻だ。

 公取委は、財界の要求通り出資総額制限制度を廃止するのであれば、過去の循環出資も規制対象に加え、富の集中にメスを入れるべきだとの立場を取っており、財閥グループの改革に強い意欲を持っているといわれている。これが執行されれば、循環出資によって経営権を握っている主要財閥グループは大混乱に陥るもようだ。