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2006/06/23

<韓国経済>外換銀行売却・監査院「不適切」と断定

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    不正徹底調査を訴え監査院の前で座り込みを続ける外換銀行の労組員

 米国系ファンド、ローンスターによる外換銀行の不正買収疑惑について調査を進めていた監査院は19日、2003年の外換銀行の売却時に買収資格のなかったローンスターに不適切な売却が行われたとの最終結論を発表した。これを受けて検察は、不正売却に関与したとみられる財政経済部や外換銀行関係者の捜査に着手した。すでにローンスターが外換銀行を国民銀行に売却することが決定しているが、白紙撤回される可能性も出てきた。
 
 監査院の河福東・第1事務次長は、定例会見で、「外換銀行経営陣が負債を誇張し、交渉価格を低く設定したほか、金融当局も十分な検証をせず、関連法規を無理やり適用して、不正の事実を黙認していた」と明らかにした。

 また、「当時、外換銀行は不渡りの危機に直面するような状況にはなく、外換カードの負債解決のため売却が避けられなかったとする銀行側の説明も説得力がない」とし、公正性と透明性を欠いたまま、売却が進められたと指摘した。

 売却基準とされていた国際決済銀行(BIS)基準の自己資本比率のについても、低く算定したと判断。売却過程で、李康源・元外換銀行長をはじめ当時の外換銀行関係者らが会計法人に指示して不当に操作し、負債査定結果を基に売却額を算出するよう売却主幹事に指示していたことも明らかにした。

 監査院によると、2003年にローンスターが外換銀行を買収した当時、外換銀行が提示した売却額は4000億ウォンから1兆ウォンで、実際の企業価格より1兆ウォン以上低く算定されていた。外換銀行が自ら算出した企業価格は1株当たり2610-4350ウォンでローンスターコリアが外換銀行の資産査定後にローンスター本社に報告していた1株当たり3500-5500ウォンよりも大幅に低いこともわかった。

 このような監査院の指摘に基づき、検察は疑惑に関与したとみられる前職及び現職の経済官僚、外換銀行の関係者らの捜査に乗り出した。近く、事件に関与したとみられる20人を出頭させ、ロビー疑惑の解明に当たる方針だ。捜査の対象者には、李康源・元銀行長、李達龍・元主席副行長、金融監督委員会の監督政策局長だった財政経済部の金錫東・次官補らの名前が挙がっている。検察は、2000年8月に25億ウォンだった保有資産が2004年2月に86億ウォンに急増した李憲宰・元財政経済部長官についても、外換銀行売却と関係がないかどうか捜査する。

 一方、財政経済部は、当時の外換銀行の経営不振は韓国経済に深刻な影響を与えかねない事態で、政府としては金融不安を招くことがないよう最善の措置を講じる責任があったと主張し、売却条件をめぐる交渉は、ローンスターの提案を一方的に受け入れたものではなく、当事者間の交渉を経て双方が満足する水準で妥結したものだと反論している。