新世界の筆頭株主である李明煕会長の長男、鄭溶鎮副社長(38)が、中国・上海のEマート山林店のオープニング行事に参加したあと会見し、「両親の持ち株を譲り受け、ビックリするほどたくさんの税金を払って新世界の経営権を継ぐ」と宣言した。これに伴って発生する贈与税は1兆ウォンに達する見込みで、過去最高の納税額に財界からは驚きの声が挙がっている。
新世界は、新世界百貨店と大型ディスカウントストアのEマートを展開する大手流通グループ。オーナー一族の持ち株は、母親の李明熙会長15・33%、父親の鄭在恩・名誉会長7・82%、鄭副社長4・86%となっており、両親の持ち株23・15%(時価総額1兆9950億ウォン)を鄭副会長が相続すると、相続税率50%が適用され、1兆ウォン近い税金が課せられることになる。
これまでに支払われた相続税の最高額は、大韓電線の故・薛元亮会長の遺族が2004年に申告した1355億ウォンで、今回はそれを大幅に上回り、ケタはずれに多い。
今回、鄭副社長が、電撃的に経営権の継承を発表したのは、市民社会団体の参与連帯が、「税金逃れの不正贈与」で新世界を攻撃しているためとみられる。参与連帯は、光州新世界の増資に鄭副社長が参加したことに関し、法の目をかいくぐった不正贈与に当たるとして検察に告発した。これに対して新世界側も、参与連帯を名誉毀損で訴えるなど、両者のあつれきが熾烈化している。
鄭副会長は会見で、「倫理経営は新世界のモットーであり、必ず守っていかなければならない。どうせ税金を払うのなら、相続を待たずに贈与税として納め、企業相続に対する社会の間違った考えを正したい」と述べた。
このような新世界の措置は、経営権継承を控えた企業にとって「前例」となることから、大きな負担になりそうだ。