サムスングループは10日、金融系列社のCEO(最高経営責任者)を刷新する大規模な人事を断行した。急変する内外の金融環境に対処するため、経営の体質を強化し、国際競争力を確保するのがねらいで、金融分野で第2の飛躍をめざす。
今回の人事で、サムスン生命の代表理事に李水彰・サムスン火災海上保険社長、サムスン火災海上保険の代表理事に黄泰善・サムスン投資信託運用社長、サムスン投資信託運用の代表理事に姜在英・サムスン電子副社長がそれぞれ内定した。また、ペ・ジョンチュン・サムスン生命社長が副会長に昇進すると同時に、サムスン社会貢献委員会の委員長に抜てきされた。
今回の人事は、2月に発表した金融系列社の社外理事拡大、社外理事からの理事会議長選任、社会貢献活動強化などの後続処置とみられている。
金融系列社の代表格であるサムスン生命の新社長に就任する李水彰氏は、99年にサムスン火災を担当し、26・9%だったシェアを30%台に引き上げた。今後、李社長は、9人で構成されるサムスングループ戦略企画委員会のメンバーとして、金融系列社のまとめ役を果たすことになる。
黄泰善・サムスン火災社長は、同社の財務と経営支援を担当した経験があり、管理のスペシャリストとして定評がある。実務型の黄社長を起用したのは、損害率の上昇で悪化した経営を立て直すのがねらいだ。
一方、金融系列社の中で最も苦戦を強いられているサムスンカードのユ・ソクリョル社長とサムスン証券のペ・ホウォン社長を留任させた。これは、両社長のこれまでの実績を高く評価し、経営改革に拍車をかける意図があるとみられている。
金融ビックバン時代を迎え、銀行、保険、証券の垣根が取り払われ、業界は過当競争時代を迎えている。銀行は保険業務を兼ねることができるが、保険会社が銀行を兼ねることは認めておらず、今回の人事で、今後サムスンがどのような金融育成策をとるのか注目される。