外国資本による敵対的M&A(企業の買収・合併)が吹き荒れる中、ポスコは、経営権を防御するため、国民年金や軍人共済会をはじめとする国内の機関投資家に対し、自社株の保有を増やすよう要請している。一部のマスコミが、ポスコが外資の標的になっていると報じたことから、ポスコは対応に追われている。
アジアン・ウォールストリート・ジャーナル(AWSJ)は6日、「ポスコも外資の敵対的M&Aの対象になりうる」と指摘し、「民営化されたポスコは、独占的地位を維持しつつも、大企業集団に属さず、経営権防御策が遅れている点でKT&Gと類似している」と警告した。
これまでポスコは、国民的企業というイメージから外資の攻撃はないとみられていた。しかし、李亀沢・ポスコ会長は、先月初めにパリで開かれた世界鉄鋼協会(IISI)会議に出席後、「世界の鉄鋼業界に吹き荒れるM&Aは凄まじく、ポスコも狙われている」と危機感を示し、経営権防御に乗り出した。
ポスコが考えている対策は、株主の友好勢力を増やすことだ。ポスコが敵対的M&Aを防ぐには、友好的持ち分を最低33%確保しなければならない。ポスコの株主構成は、外国人65・13%(新日鉄の持ち株除く)、自社保有株8・15%、社員持ち株2・14%、SKテレコム2・85%、浦項工科大学2・77%、新日鉄3・32%、国民年金2・76%、その他9・56%となっている。
ポスコには現在、大株主が存在せず、株主が乱立している状況だが、半分以上を外国人投資家が占め、大手資本が買収に乗り出せば、経営権が危うくなる。現在、ポスコの友好勢力の持ち株率は約25%。このためポスコは、国民年金や軍人共済会などの大手投資機関に株式の追加取得を要請、友好勢力の持ち株率を33%に引き上げる方針だ。株式の3分の1以上を確保できれば経営権を防御できるため、李会長と財務担当役員の李東熙専務が国民年金や軍人共済会、教員共済会などを訪ね、投資の拡大を要請している。