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2006/02/03

<韓国経済>ウォン高、原油高が直撃

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    蔚山埠頭で船積みを待つ現代自の輸出車。ウォン高で採算が悪化し、対策に追われている

 現代自動車グループが、為替レートの急騰と原油の高騰など、内外の不安材料に対処するため、非常経営体制に入った。現代自は「非常経営体制突入」を宣言し、経営戦略推進室を新設するなど、組織も非常管理体制に改編した。さらに、李銓甲・監査室担当社長を副会長に昇進させ、経営戦略室と企画統括本部、監査室を統括させることを決めたほか、鄭弘植・監査室常務を専務に昇進させ、監査室担当に任命した。

 現代自は昨年の純益が史上初めて2兆ウォンを突破したが、浮かれた様子はどこにも見られない。配当収益のおかげで純益は増えたものの、本業の売上高と営業利益が減ったためだ。

 さらに今年は、年初からのウォン高で、目標達成は容易ではないという危機感が募っている。昨年末現在で、現代自の輸出比率は66・5%。海外工場での販売分を含めると75・6%に達し、ウォン高は死活問題だ。

 証券業界によると、米ドルに対するウォンレートが100ウォン上がると、現代自グループの売上高と純益はそれぞれ2兆ウォンと7000億ウォン減少する。専門家は、1㌦=970ウォン以下になると、採算割れは必至とみている。

 現代自グループが非常態勢に突入した裏には、対外的な不安材料のほかに、「攻撃的経営」に対する憂慮があるといわれている。業界の一部では、現代自の経営速度が速すぎるという声が出ており、内部でも「スピード調整論」が台頭してきている。

 現代自グループは、一貫製鉄所建設、現代自のチェコ工場および起亜自の米国工場着工、現代自の北京第2工場着工、中国商用車工場建設、インド第2工場着工、部品メーカー万都の買収など、投資事業だけで10兆ウォンを超える資金が必要だ。

 また、世界の自動車メーカーの低価格攻勢のせいで米国と中国での収益性が悪化している点も悩みの種だ。