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2007/06/01

<韓国経済>韓米FTA・6月30日に正式調印へ

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    韓米FTAの協定文を公表する金宗壎・韓国側代表

 韓米両国は、5月29日からワシントンで韓米自由貿易協定(FTA)協定文に対する法的検討作業に着手した。両国は、協定文に明示された用語の一貫性や、誤字・脱字の有無、韓国語と英語の照合などを行い、合意した協定文に問題がないかどうか確認する。検討作業は6日まで続けられ、問題がなければ6月30日にワシントンで正式に調印する。

 今回の検討作業は、事実上のFTA再交渉ではないかとの見方も出ているが、合意文面の確認作業が主体で、内容については一切手を加えることはできない。

 これに先立ち韓国政府は、韓米FTAの協定文、付属書、付属書簡など2700㌻におよぶ資料を韓国語と英語で公開した。韓国と同時に米国も公開した。公開された資料は韓国語版1400㌻、英語版1300㌻で、解説用の詳細な説明資料と用語集300㌻も公開された。これらの資料は外交通商部、財政経済部、農林部、産業資源部、国政広報処などのホームページに掲載され、だれでも閲覧できる。

 公開されたFTA協定文は、牛肉、豚肉、リンゴ、トウガラシ、ニンニク、タマネギ、高麗人参、麦などの敏感農産物30品目については、輸入量が一定の基準を超えた場合には、追加の関税を課するセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動するとうたっている。しかし、農産物については品目別の具体的基準はなく、国内産業に深刻な被害を与えていると判断された場合に発動を決定するとなっている。

 両国の懸案事項となっていた牛肉の輸入は、FTA発効初年度が27万㌧で、毎年6000㌧ずつ増やし、15年目に35万4000㌧とする。適用税率は1-5年が実行税率、6-10年は実行税率の75%、11-15年は同60%とし、15年かけて現行関税の40%を削減することになる。豚肉については、初年度が8250㌧で、毎年6%ずつ拡大し、関税が撤廃される10年目に1万3938㌧とする。また、FTA発効1-5年に発動されるセーフガードについては実行税率を適用し、6-10年は同70%から50%まで毎年5%ずつ税率を下げる。

 オレンジは韓国産ミカンが出荷される9月から2月の間は現行関税の50%を維持する代わりに、無関税割当を2500㌧から毎年3%ずつ増やす。このほか、天然ハチミツの無関税割当は200㌧から毎年3%ずつ拡大する。

 関税即時撤廃品目は、オレンジジュース(冷凍)、花卉類、ブドウジュース、コーヒー、ワイン、飼料用トウモロコシなど。牛肉、高麗人参、トウモロコシ、ニンニクなどは15年以上かけて段階的に撤廃する。即時撤廃農産物は、品目数全体の37・9%、輸入額ベースでは55・8%とし、5年以内に撤廃する農産物は約68%水準となる。

 一方、米通商代表部(USTR)のノートン報道官は、韓米FTAの追加交渉についてふれ、「韓米FTA協定の調印条件としてブッシュ政権と米議会の間で合意した新通商政策を反映させる必要がある」と述べた。この「新通商政策」は、労働と環境分野などの規制強化をうたったもので、米側はこれを韓米FTAに盛り込むための追加協議を要求している。特に米側は、閉鎖的な韓国の労働市場について、国際労働基準の順守を求めており、農業分野で牛肉の即時完全開放が実現しなかったことにも不満を募らせている。

 米国は追加協議で、韓米FTA協定文に不満の多い米国の畜産農家、労働界、自動車業界などの要求事項を積極的に反映し、韓国から譲歩を引き出す方針だ。これに対して韓国側は、追加協議を受け入れても、譲歩はしないとの姿勢を示しており、最終調印に至るまでには難航が予想される。