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2007/12/14

<韓国経済>現代製鉄・独ティッセンと提携

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    調印を終え握手する鄭夢九・現代自動車グループ会長(中央左)と独ティッセンのケリー会長

 現代自動車グループが、欧州で最高の鉄鋼技術を保有するドイツのティッセン・クルップ・シュタール(TKS)社と高炉技術の導入契約を結んだ。これによって同グループは、系列社の現代建設が忠清南道唐津に建設を進めている一貫製鉄所(2010年から商業生産予定)の稼働に必要な主要8工程の技術を確保した。すでに現代製鉄は、鉄鉱石の調達や設備の導入契約を終えており、今回の技術導入で一貫製鉄所を早期に軌道に乗せる基盤ができたことになる。

 現代製鉄の朴承夏社長はこのほど、韓国を訪れたティッセンのカール・ユーリッヒ・ケリー会長とソウル・良才洞の現代自動車社屋で「製鉄操業技術協力契約」に調印した。契約式には鄭夢九・現代自動車グループ会長らも参加した。

 今回の契約で、ティッセンは、現代製鉄に鉄鉱石、石炭などの原料の前処理から高炉での焼結、コークス工程、製鋼、熱延まで、一貫製鉄所の稼働に不可欠の主要8工程技術を供与する。

 また、現代製鉄は、来年3月から2010年5月まで、年間250人の技術者をドイツに派遣し、ティッセンで技術研修を受ける。さらにティッセンは、2009年7月から2011年末まで自社の技術者約40人を唐津の一貫製鉄所に駐在させ、軌道に乗るまで設備の運転など技術指導を行う。

 鄭夢九会長は、調印式で「現代製鉄の一貫製鉄所建設及び安定的運営には、ティッセンの助けが絶対的に必要だ。今後、両社が自動車用高級鋼板と新鋼種の開発分野などで積極的に技術交流を図り、さまざまな分野で協力していくことを希望する」と述べた。

 これに対しケリー会長も、「わが社は鉄鋼応用技術、表面処理技術で世界最高レベルにある。現代自グループと高炉操業技術、高強度鋼板の開発、モジュール事業など多岐にわたる分野で協力していきたい」と応じた。

 調印式には、李賢淳・現代自社長も参加し、現代製鉄、現代自動車、ティッセンの3社による自動車分野の「包括的協力覚書」も締結された。この覚書は、現代・起亜自動車の欧州及び米国工場にティッセン製品の供給を増やすため、相互に努力することをうたっている。

 ティッセン・クルップは、ティセンスチール(1891年設立)とクルップスチール(1811年設立)が1999年に合併してできた会社で、粗鋼生産量は1650万㌧(2006年、世界13位)。高級自動車用鋼板技術を保有し、ダイムラーベンツ、BMWなど欧州の主要自動車メーカーと日本車の欧州工場に供給している。今回の技術契約によって現代製鉄の一貫製鉄所建設に弾みがつき、予定通り2010年に稼働できる見通しとなった。