現代自動車がロシアに自動車工場の建設を進めている。年産10万台規模で、投資額は4億㌦前後になる見通しだ。建設地は、サンクトペテルブルクまたはニジェゴロド州が有力視されており、年内にプロジェクトの詳細を決定し、来年初めに着工する予定だ。ロシアは、経済の急成長とともに自動車市場が急拡大、世界の主力メーカーが工場建設を急いでおり、これに対抗して現代自も工場建設に踏み切り、現地生産によって市場開拓に本腰を入れる。
現代自動車によると、来年初めに世界貿易機関(WTO)への加盟を控えているロシア政府が、投資を要請してきたもので、ロシア経済開発通商部の長官名義で数回に渡って投資を打診してきたという。これを受け、経済効果などを検討した結果、OEM(相手先ブランドによる生産)ではなく、直接進出して現地生産することを決定した。
すでに現代自は、ロシア経済開発通商部と5候補地の中から1カ所に工場を建設するMOU(了解覚書)を締結し、工場用地の確保に乗り出した。これに伴い、工場用地を確定するための調査をコンサルティング会社のディロイトに依頼するとともに、ロシア15州政府に工場建設に関する要望書を送付した。
ロシアは、新興経済国BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の中で自動車生産基盤が最も脆弱だが、自動車市場が急成長し、有望とみられている。このため、トヨタ、フォルクスワーゲン、日産、ゼネラル・モーターズ(GM)、スズキなど世界的メーカーが工場建設に乗り出しており、年末から2009年にかけて相次ぎロシア工場を稼働するもようだ。
各メーカーは、BRICs市場の開拓に600万ウォン以下の低価格車を投入する計画で、これに対応して現代自も、これまでのプレミアム戦略から低価格車路線に切り替える方針だ。
韓国自動車産業研究所は、低価格車市場が年平均10%成長し、2012年には世界市場規模が865万台に達すると分析している。昨年、600万ウォン以下のクルマは487万台も売れた。
しかし、低価格車競争に対する懸念も出ている。韓国産業研究院は、「低価格車が出回れば、数年後にブランドイメージを悪化させる」とし、「世界のトップメーカーに比べてブランド力で劣る現代自が低価格車に力を注ぐのであれば、イメージを崩さないよう品質やアフターサービスで細心の配慮が必要だ」と指摘している。