2009年資本市場統合法の施行にあわせて、政府は金融関連の規制を先進国水準に大幅緩和すると発表した。また、金融業種間の壁を取り払い、M&A(企業の合併・買収)や金融機関の大型化・兼営化の促進に向け関連法も整備する。これによって「金融ビックバン」が到来する。
政府は18日、青瓦台(大統領府)で、盧武鉉大統領が主宰する第2次金融ハブ会議を開き、「第2段階の金融ハブ戦略ロードマップ(行程表)」を発表した。第1段階戦略(2003-2007年)が東北アジアの実質的な金融ハブをめざすものであったのに対し、第2段階(2007-2010年)は業種間の垣根を崩し、国際化に重点を置く「金融ビッグバン」を標榜している点で大きな違いがある。
政府は、ソウルを香港のような世界的な金融中心地に育成するには限界があると判断、▽規制緩和▽専門人材の育成▽国内金融会社の海外進出と外国金融会社の誘致▽金融派生商品の拡大――などを通じて金融の国際競争力を強化する。
このため、国内金融のM&Aを誘導し、海外進出規制を大幅に緩和する方針だ。しかし、国内4大銀行の資産規模は、米国、日本、英国などの先進国の10分の1に過ぎず、収益の97%を国内に依存するなど、収益基盤はぜい弱だ。証券業界も、仲介業務(委託売買手数料)が主体で、国際競争には弱い。
政府は銀行、証券、保険の大型化を推進するため、M&Aを積極的に奨励していく考えだ。まず、資本市場統合法の発効に伴って大型金融投資会社を育成するため、税制優遇措置を講じる。これまでは95%以上の株式を買収する場合にのみ、株式譲渡差益に対する課税を先送りしていたが、課税繰り延べの持ち分規定を大幅に下げる。
証券会社の買収規制も緩和する。現在は負債比率200%以内の法人しか証券会社を買収できないが、これを300%に引き上げ、買収しやすくする。
さらに保険会社のM&Aについても規制を緩和する。現行法では金融以外の法人が保険会社を買収するには、自己資本が保険会社への出資金の3倍以上であること、借り入れによる出資の禁止、負債比率300%以下であることなど厳しい条件がつけられている。このため、私募ファンド(PEF)や特殊目的会社(SPC)などが保険会社を買収することは不可能だった。
また、証券業への新規参入規制を緩和するほか、銀行と保険の付帯業務を増やす方向へ関連法を改正する。銀行の業務を投資顧問などに拡大し、金融派生商品の取り扱い範囲を広げてIB(投資銀行)業務の活性化を図る。
このほか、韓国投資公社(KIC)が担当する外貨準備高など国家資産の運用を現在の200億㌦から2015年までに2000億㌦に拡大し、債券中心から株式などに多角化する。
一方、金融専門家の育成にも力を注ぐ。韓国の金融業従事者は73万3000人にのぼり、香港(18万人)より多いが、為替ディーラーなど専門家は8・9%に過ぎない。