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2007/07/13

<韓国経済>ウォン高でも輸出衰えず

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    自動車などを中心に輸出は絶好調だが、ウォン高で採算が悪化し、輸出企業は苦境に立たされている

 ウォン高にもかかわらず、輸出が引き続き好調を維持している。通常、為替が上昇すれば輸出単価が上がり、国際競争力が低下して輸出が停滞するが、韓国の輸出の伸びは衰えを知らない。しかし、不安材料も多い。国際原油価格が上昇し、輸入も増えている点だ。また、全体の輸出額は増えているが、企業の採算が悪化して利益が減っており、輸出が好調だといって手放しでよろこべない状況だ。

 産業資源部は8日、今年の輸出が当初の予想より70億㌦多い3670億㌦に達するとの見通しを明らかにした。これは、昨年(3254億㌦)に比べ12・8%の伸びとなる。ただし、上半期の増加率は14・7%に達したものの、下半期は11・1%に低下すると予想した。半導体、石油製品の輸出が停滞するうえ、昨年下半期の輸出が大幅に伸びた反動だ。自動車、造船、鉄鋼、一般機械については、下半期も好調を維持するもようだ。

 このように輸出は堅調に増えるが、輸入も増えるため、今年の貿易収支黒字は昨年の実績(161億㌦)と年初の予測(170億㌦)を下回り、150億㌦にとどまる。特に国際原油価格の高騰で輸入額が膨らみ、貿易収支の悪化を助長する見込みだ。

 韓国銀行によると、ウォン・ドル為替レートは、2002年以降に30%も切り上がった。為替が上昇すれば、為替差損による収益減少、輸出単価引き上げ、需要減に伴う輸出減退となる。しかし、最近の韓国の貿易をみると、この図式は当てはまらない。為替が上がっても、輸出は毎年12-30%も増加している。これは、輸出に対する為替の影響が減ったことを意味する。

 産業資源部の車東炯・輸出入チーム長は、「通貨危機以降、為替より生産性や品質が輸出により大きな影響を及ぼすようになった」と分析する。高麗大学経済研究所によると、為替の変動が輸出に及ぼす影響は、通貨危機前が22・8%だったが、通貨危機以降は12・8%に低下し、その一方で世界の景気動向が14・1%から43・1%に大幅に高まった。為替が変動しても、米国のような先進国の景気が良好であれば、韓国の輸出は好調を維持できるということだ。

 産業資源部は輸出が好調な要因として、▽輸出構造の高度化▽市場の多角化▽企業の生産性向上▽ブランド価値アップ▽主力産業の競争力アップ――を挙げた。

 一方、輸出の拡大に反して企業の輸出採算性が悪化し、大きな問題となっている。韓国貿易協会が約180社を対象に調査した結果、72%が「現在の為替は、損益の分岐点で、赤字すれすれ」と回答しており、これ以上ウォン高が進めば、輸出からの撤退を余儀なくされる企業が増える。