サムスングループは、サムスン電子の半導体、サムスンSDIのプラズマなど、グループの主力事業に陰りが見えはじめ、さらに原油高とウォン高による経営環境の悪化で先行きが不透明だとし、新たな成長動力の発掘に乗り出した。これは、李健熙会長が「このままでは5-6年後に危機を迎える」と警鐘を鳴らしていることに対応したもので、グループを挙げて国際競争力強化のための構造調整に着手する。
サムスングループによると、現在準備中の競争力強化案は、▽新事業発掘▽投資優先順位の再点検▽戦略的グローバル生産体制の確保▽脆弱な事業へのテコ入れ▽組織改編――など。
サムスンがこのような改革に乗り出したのは、最近の経営状況が深刻だと判断したためだ。特に、主力事業の半導体が低迷し、業績の不振を打開できないことや、原油高とウォン高が輸出の大きなネックになっていることに危機感を募らせている。このため、系列社ごとに、事業内容を総点検し、競争力の確保に向けロードマップ(行程表)を作成し、構造調整や人材の再配置を行う。
まず新事業発掘を専門に担当する戦略チームを構成する方針だ。サムスン電子などが2、3年前から新事業発掘に取り組んでいるが、具体的な成果が表れないことから、グループを挙げて本格的に取り組む。これに伴い、投資計画の見直しにも着手する。限界にきている既存の主力事業への投資を縮小し、今後、成長が見込める収益性の高い事業への投資を拡大していく。
構造調整には、グローバル生産基地の戦略的な再配置も含まれている。サムスンは、グループ全体の売上高の80%以上を海外に依存しており、今後の海外展開を見据えて、新興市場、先進市場など地域の特性に合わせた生産、R&D(研究開発)、マーケティング戦略を強化していく考えだ。さらに、低収益事業を縮小していく。ゴルフ場の会員権など無収益資産の比率を減らし、コスト削減を徹底する。
サムスンが危機感を抱いた最大の要因は、半導体部門の実績悪化だ。今年第1四半期のサムスン電子の営業利益は、4年ぶり最悪となる1兆1000億ウォンにとどまり、第2四半期も1兆ウォンを割ると予想されている。第3四半期以降も大幅な改善は望めず、半導体事業の限界説が台頭してきた。
これに加え、サムスンSDIのプラズマパネルおよびブラウン管事業が成長の限界に直面し、サムスンコーニングもガラス基板ラインを一部閉鎖するなど、深刻な状況に陥った。このため2社は、人員削減とともに低収益の地方の事業所の閉鎖を検討している。
電子以外の系列社も、5年、10年後の成長動力がないという点で不安を抱えており、対策が急務となっている。