モンゴルの南ゴビ地域で世界的に不足している鉄鋼用原料炭(コークス)の豊富な埋蔵が確認され、脚光を浴びている。なかでも同地域にある「タバン・トルゴイ石炭鉱区」は世界一の埋蔵量(51億㌧)を誇り、日本、中国、ロシア、カナダ、ブラジルなど世界各国が開発権を確保しようと躍起だ。韓国も官民挙げてプロジェクト参加を進めており、20%の開発権取得をめざしている。
モンゴル政府は、今年秋にタバン・トルゴイ石炭鉱区開発プロジェクトの参加企業を決める国際入札を実施する予定だ。投資額は、インフラ整備を含めて142億㌦に達する。これを控えて韓国は、28日に李載勲・産業資源部第2次官を団長とする官民合同使節団をモンゴルに派遣、投資意向書を提出する。韓国側は、開発に必要な発電所、鉄道、道路、送電線、水道管などのインフラ整備を引き受ける条件を提示し、開発権を取得する考えだ。
盧武鉉大統領は、昨年5月にモンゴルを訪問した際に、資源協力の重要性を強調し、今年6月にモンゴルのエンフバヤル大統領が訪韓したときにも、同プロジェクトへの韓国企業の参加を要請している。
また、鉱業振興公社が主幹事となり、韓国電力、ポスコ、サムスン物産、大宇インターナショナル、慶南企業、STXなどが参加する韓国コンソーシアムを構成、国際入札に備えている。韓国が獲得をめざしている開発権20%は、金額にして約30億㌦規模となる。
タバン・トルゴイ鉱区は現在、露天掘りで年間100万㌧の石炭が採掘されている。しかし、埋蔵量が50億㌧を超えることが判明し、モンゴル政府は、来年から本格的な開発に着手し、2014年をめどに年8000万㌧を生産する計画だ。埋蔵量の10―30%が一般の燃料用石炭より価格が3倍以上高い製鉄用コークスであると推定され、世界の目が一斉にタバン・トルゴイに向けられた。
ロシアは、開発への参加を念頭に、2004年にモンゴルに対する110億㌦の債権を放棄。また、セベルスタル、ベーシック・エレメント、レノバなどがコンソーシアムを構成し、50億㌦を投資して単独開発すると提案した。中国も、鉱山開発会社の埃瑪が50億㌦を投資し、単独開発したいと要請している。
日本も三井、三菱、住友などがコンソーシアムを構成し、開発権の取得に動いており、日本政府もこれを支援するため、官民合同協議会を構成した。このほか、ドイツのシーメンス、オーストラリアのBHPビリントンも名乗りをあげており、今後、タバン・トルゴイの開発権をめぐって激しい国際競争が繰り広げられる見通しだ。