世界初の体細胞クローン犬「スナッピー」を誕生させたソウル大学獣医学部の動物クローン研究チームが、絶滅の危機にある灰色オオカミのクローン2頭を世界で初めて作り出すことに成功したと発表、一般に公開した。いずれもメスで、誕生して1年5カ月を経過し、順調に生育している。この研究成果は、米のクローン専門誌「クローニング・アンド・ステムセルズ」3月号に掲載され、韓国のクローン研究が世界的レベルに達していることを証明した。
ソウル大クローン研究チームの李柄千教授によると、このクローンオオカミは、クローン犬「スナッピー」と同様の開発手法をとり、まずソウル大公園で飼育されている灰色オオカミ(メス2歳)の耳から採種した体細胞を核を除去した実験用の雑種犬(メス)の卵子に移植、受精した卵子を代理母(雑種犬)の子宮に着床させる方法でつくり出した。
誕生日は2005年10月18日と26日で、出生時の体重は約500㌘だったが、現在は20㌔に増えているという。2頭はソウル大の英文略称(SNU)とオオカミ(WOLF)を組み合わせて「スヌルフ(SNUWOLF)」、「スヌルフィ(SNUWOLFFY)」と名付けられ、ソウル大公園の特別展示室で一般公開されている。
クローン研究チームは、2005年8月に世界初のクローン犬「スナッピー」を生み出し、昨年12月にもクローン犬3頭を誕生させた。李柄千教授によると、スナッピーのときのクローン成功率は0・8%(123頭の代理母から1頭だけが誕生)だったが、今回のオオカミは、計12頭の代理母から2頭が誕生し、成功率は16・7%に向上した。しかし、昨年のクローン犬の成功率(25%)にはおよばなかった。
これまで絶滅が危惧される野生動物の保存には、一般的に人工受精や対外受精の方法がとられてきたが、今回のソウル大チームの研究成果によって、クローン技術が脚光を浴びそうだ。