韓米FTA(自由貿易協定)交渉の妥結が迫るなか、政府は、「FTA外交」を精力的に拡大していく構えで、中国、EU(欧州連合)とのFTA交渉に乗り出す。EUとは5月初めに第1回交渉をスタート、中国とも交渉に向け、今月22日から北京で予備交渉に相当する産官学共同研究会をスタートさせた。
外交通商部・通商交渉本部によると、中国との共同研究会は今年3回を予定しており、最初の会合でFTA推進に関する基本原則と共同研究の進め方について協議する。
通常、特定の国家とFTA交渉に入る前に、事前に産官学共同研究または予備協議を行うのが慣例になっており、外交通商部は、中国との研究会を立ち上げることで、早期に本交渉をスタートさせたい考えだ。
中国とのFTAは、経済効果が高いが、農産物など敏感品目が多く、事前の共同研究で十分なすり合わせが必要になる。韓国側は、敏感品目については例外措置をとるよう中国側を説得する方針だ。通商交渉本部の担当者は、「両国の貿易額を基準に10%程度を例外品目として指定するようはたらきかける。この程度であれば、農産物全体を例外品目に含めることができるだろう」と語っている。
一方、EUとのFTA第1回交渉が遅くとも5月初めに開催される予定だ。韓国側首席代表に金ハンス・外交通商部局長、EU側首席代表にはガルシア・ベルセロ・EU執行委員会通商総局・東アジア局長が内定した。両者は事前接触を通じて、協定の範囲、交渉グループの構成、協定文(草案)の相互交換に合意している。このため、交渉は速いスピードで進展し、早期妥結に持ち込めると政府はみている。
政府の思惑通りに米国、中国、EUとのFTAが交渉妥結すれば、韓国は貿易の60%を占める国々とFTAを締結することになる。すでに韓国は、チリ、シンガポール、EFTA(欧州自由貿易連合)、タイを除くASEAN(東南アジア諸国連合)とFTAを締結しており、これに米国、EU、中国が加われば、韓国の貿易量が大幅に増え、大きな経済効果が期待される。