今月8日から12日までソウルで開かれていた第8回韓米FTA(自由貿易協定)交渉は、政府調達、競争分野、通関で妥結、貿易摩擦、環境、電子商取引分野でも基本合意したが、争点となっている自動車、農産物、繊維などの関税撤廃や産業保護政策の見直しでは意見の隔たりを解消できず、決着はつかなかった。しかし、今月中の交渉妥結、2008年発効を確認した。大型交渉団による協議は今回が最後で、19日から米国で開かれている高官協議で妥結を図る。
今回の交渉で両国は、政府調達と競争、通関分野で完全に妥結した。政府調達分野では、米国が州政府の調達市場を開放対象から外し、韓国も地方政府や公企業の調達市場を対象から外すことで合意した。
通関分野では、輸入貨物の通関をスピーディー化するため、輸入申告書類を貨物到着前に提出できる事前制度を適用、空港や港湾に到着した貨物を原則的に48時間以内に搬出できるようにする。さらに輸出業者や生産者だけでなく、輸入業者にも両国間のFTA特恵関税の申請に必要な原産地証明書を発給する制度を導入し、税関当局が相互に貿易業者や生産者の原産地を検証、第三国で生産された物品の迂回輸入を防止する。
商品分野では、米国が液晶モニターなど約10品目の関税を即時撤廃するなど3億3000万㌦相当の関税譲許案を提示、韓国側も7品目で譲歩した。これによって品目ベースの即時関税撤廃率は、米国が85・1%、韓国が85・2%となった。
一方、金融サービス分科会で、大きな争点だった政府系金融機関の取り扱いについて、韓国側の主張通り、韓国産業銀行と中小企業銀行もFTA協定の適用外とすることで合意した。その見返りとして韓国側は、米国が要求していた金融情報の海外移転について、機密保持や消費者保護など米国の金融機関と同一の規制を受け入れた。
こういった成果はあったものの、肝腎な農産物、自動車、繊維、医薬品、北朝鮮の開城工業団地の原産地問題については、意見の隔たりを埋められず、高官級協議に持ち越された。
今回の交渉終了後、カートラー米代表は、「高レベルでバランスのとれたFTAを締結する準備が整った」と今月中の妥結を楽観視し、金ジョンフン・韓国側代表も、「協定が妥結すれば、両国がこれまで締結したどの国とのFTAよりも高い水準になる」と強調した。
韓米両国は、19日から首席代表と通商長官級の高官協議に入り、交渉期限(4月2日)までに妥結をめざす。交渉ではコメ、牛肉、自動車などの難題を一括して取引する「ビッグディール方式」で妥結を図る見通しだ。