鉄鋼最大手のポスコと国内最大の溶接鋼管メーカー、世亜製鋼が戦略的提携を結び、API(アメリカ石油協会)規格の高強度グレードラインパイプ用電縫管など付加価値の高い高級鋼管を開発、北米市場の開拓を共同で推進することで合意した。また、関係を強化するため、互いに相手企業の株式を持ち合い、資本提携する。これによって両社は、鋼管分野での国際競争力を高め、世界的な鋼鉄業界の再編に対抗していく構えだ。
ポスコと世亜製鋼は6日、それぞれ緊急理事会を開き、2社の戦略的提携を承認、API鋼管素材と鋼管製品の生産販売、先端技術の共同開発、海外への共同進出など包括的な協力体制を築くことを決めた。また、株式の持ち合いを推進、ポスコが世亜製鋼の第三者割当増資に参加し、発行株式の10・1%に当たる54万株を引き受け、世亜製鋼もこれに相当する金額のポスコ株を取得することでも合意した。
これに伴い両社は、最初の共同事業として世界最大のラインパイプ市場である北米市場の開拓を進めるため、現地に年産27万㌧規模の高級API鋼管工場を新設する計画だ。
世亜は、ポスコと共同でX80グレードの高級電縫管の開発に国内で初めて成功、昨年11月から浦項工場で製造を開始し、天然ガス用ラインパイプとしてオイルメジャーへの供給を推進している。
今回のポスコとの戦略的提携で、世亜は海外市場の開拓に拍車をかける。
ポスコと世亜は、素材供給会社と顧客として約30年間にわたって信頼関係を築いてきた。先端素材の開発技術を持つポスコと鋼管技術で世界的な競争力を持つ世亜との提携は、大きなシナジー(相乗)効果が期待されている。
特に年間110万㌧の鋼管と30万㌧の冷延生産能力を持つ世亜は、汎用鋼管を中心とする生産構造を付加価値の高い特殊鋼管、ステンレス鋼管にレベルアップしていく考えで、ポスコとの戦略的提携をバネに第2の飛躍をめざす。