ウォン高、原油高、米国の景気後退など、世界市場を取り巻く経済環境は厳しいものがあり、2007年の韓国経済は大きな苦境に立たされそうだ。昨年、年間3000億㌦を達成した輸出は、やや伸びが鈍化するものの、今年も好調を維持するとみられるが、内需の低迷が続き、経済成長率は昨年の5・0%(推定)から4・3~4・5%に落ち込む見通しだ。韓国銀行、政府系および民間シンクタンクの分析をもとに、2007年韓国経済の行方を占う。
◆輸出の伸びやや減速 --韓国銀行◆
韓国銀行は、2007年の韓国経済について、米国経済のハードランディング、国際原油価格の再急騰および北朝鮮の核問題悪化の可能性など、リスク要因はあるものの、潜在成長力水準の成長が可能で、GDP(国内総生産)成長率を上半期4・0%、下半期4・7%、年間で4・4%と分析。輸出は堅調な増加勢を維持し、消費、設備投資などの内需も緩慢な回復を示すと予想している。
しかし、国内景気の緩やかな回復が期待される一方、さまざまな構造的要因がネックとなり、韓国経済の潜在成長力は低下する見込みだ。特に輸出をけん引しているIT(情報技術)産業が、部品や素材を海外からの輸入に依存しているため、国内の関連投資が進まず、内需拡大のネックになると指摘している。
今年の輸出は、米国をはじめ世界の景気が減速する影響で昨年より停滞するものの、情報技術(IT)景気の回復、主力製品の品質競争力アップで、昨年の12・9%増にはおよばないが、10・8%と二ケタの伸びを維持できそうだ。
経常収支は、商品収支が300億㌦前後の黒字を計上する見込みだが、海外旅行者の増大による旅行収支の悪化で、サービス収支の赤字が280億㌦前後に膨らみ、経常黒字はは昨年の60億㌦規模から20億㌦程度に減少する見込みだ。ただし、国際原油価格が来年再び急騰した場合には、物価が不安定になり、経常収支が赤字に転落する可能性も排除できない。
国内外の不透明な経営環境によって不確実性が高まり、国内企業の設備投資は昨年の7・4%から2007年は6・0%に落ち込むと予想される。機械など一部の産業では投資が回復するとみられるものの、過熱していた不動産市場が昨年11月の政府の不動産対策発表によって沈静化し、建設投資は住宅の景気不振で昨年のマイナス0・7%から2007年は1・6%増の低い伸びにとどまるもようだ。
民間消費の伸びは、昨年の4・2%から2007年は4・0%にやや鈍化する。この原因は、国際原油価格の安定による交易条件の改善にもかかわらず、労働人口の伸び鈍化と家計債務の増大、税金負担の加重などによって、消費意欲が減退するためだ。
物価は、年初から交通料金、医療保険などの公共サービス料金が集中的に引き上げられるが、原油高が一段落したことから、消費者物価上昇率は2・6%の上昇にとどまると見通しだ。ただし、安定に向かっている住宅価格が高騰した場合、物価が不安定になる可能性もある。
雇用情勢は、失業率が昨年の3・5%から3・6%に小幅上昇し、やや悪化する見込みだ。これは、原油高、ウォン高など経営の不安材料が多く、非正規職保護法案(一定期間を経た臨時雇用者の正社員登用義務化)の施行で企業は新規採用に消極的になるとみられるためだ。
◆設備投資7%増期待 --KDI◆
産業開発研究院(KDI)は、2007年の経済成長率を昨年の5%前後から4・3%に落ち込むと展望。この原因として、世界経済の成長鈍化、輸出の伸び悩み、内需の低迷持続を挙げている。所得が伸びないために民間消費も振るわず、3%台後半の増加率にとどまる。しかし、悪化していた交易条件が好転し、所得増加率と消費増加率の格差が縮まるとみている。
昨年の設備投資は運輸機械への投資回復と輸出の好調に伴って7%台半ばの増加率を記録したが、今年も企業の構造調整が一段落し、7%前後の伸びを維持する見込みだ。建設投資は、全般的に不振が続き、2007年は2%台前半の低い伸びにとどまる。
商品輸出(物量ベース)増加率は、世界的な景気の低迷で昨年(15%前後)より多少低下し、12%台を記録すると予想。金額ベースでは、11%前後の増加にとどまる見込みだ。輸入増加率(物量ベース)は、2006年(13%台中盤)より小幅鈍化し13%台前半になるもようだ。金額ベースでは、原油高の沈静化で12%前後の増加率を記録する。
一方、経済の成長鈍化に伴って雇用情勢が悪化し、失業率は、昨年の3・6%から2007年は3・7%にやや上昇すると分析している。