放送通信委員会は8日、IPTV(インターネットテレビ)の事業者審査会を開き、KT、ハナロテレコム、LGデーコムの3社を選定した。IPTVは、インターネットの通信方式を使ってデジタルテレビ放送を流すサービスをいう。これによって、韓国でも今秋から本格的なIPTV放送が開始される見通しだ。すでに欧米などでは普及が著しく、通信と放送を融合した新たなサービスとして脚光を浴びている。
放送通信委員会によると、審査の結果、KTが総合500点満点のうち421・30点を獲得し1位となった。次いでLGデーコム(414・80点)、ハナロテレコム(406・73点)、オープンIPTV(374・50点)と続き、ダウムコミュニケーションが運営するオープンIPTVは、財政面で基準点を満たせず脱落した。放送通信委は今月中に許可書を交付する予定で、10月からIPTVの商用サービスが開始される。
IPTVは、放送チャンネルを無限大に増やすことができるうえ、双方向のデータ通信が可能であることから、ドラマの主人公が着ている服をすぐに検索して注文できるなどのメリットがある。
KTとハナロは、昨年からIPTVのテストサービスを行っているが、放送終了後の地上波テレビ番組をVOD(注文型ビデオ)方式で放送してきた。今回、事業者に選定された3社は、需要が多い地上波放送番組をリアルタイムで放送できるようになる。
KTとハナロは、IPTVサービスを10月から開始する計画で、LGデーコムも今年の試験サービスを経て、来年初めから本放送に入る予定だ。しかし、KBS、MBC、SBSなどのテレビ局との番組提供交渉が難航していることや、ケーブルテレビとの摩擦によって一部コンテンツの需給に困難が生じていることなど、解決すべき課題も多い。
放送通信委は、IPTVの加入者が2012年に289万人に達すると予測しているが、事業者3社は、それより多い520万~600万人水準になるとみている。このため、2012年までにインフラの拡充やコンテンツの確保などに、KTが1兆7000億ウォン、ハナロが1兆6000億ウォン、LGデーコムが9196億ウォンを投資する予定だ。
一方、IPTVの出現に、加入者1500万人を確保しているケーブルテレビ業界は危機感を募らせている。Tブロード、CJ、C&Mなどのケーブルテレビ会社は、IPTVに対抗するため、デジタルケーブルテレビの加入者を増やす一方、超高速インターネットやインターネット電話などへの進出に力を注いでいる。
IPTVは、高視聴率の地上波放送とケーブルテレビの有力チャンネルの番組を確保できなければ、競争に敗れてしまう。しかし、地上波テレビ局が提示した番組提供料は予想より高く、交渉が難航する見通しだ。このため、放送通信委は、必要であれば、テレビ局との交渉を仲裁する考えを示している。一方、ケーブルテレビにコンテンツを提供している番組製作会社がIPTVへの提供を忌避する動きもみられ、IPTVの前途は多難とみられる。