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2008/10/10

<韓国経済>金融危機歯止めへ・政府、50億㌦を緊急支援

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    米国発の金融危機が韓国にも飛び火し、ドルの流動性不足が深刻になっている(韓国銀行)

 米国初の金融危機が世界に広がるなか、韓国政府は都市銀行の外貨流動性不足を解消するため、輸出入銀行を通じて50億㌦以上を緊急支援すると発表した。外貨準備高を銀行に放出するのは1997年の通貨危機以降では初めて。しかし、外貨準備高を大幅に切り崩せば、大きな危機に対処できなくなると反対の声も出ている。

 企画財政部の姜万洙長官は、果川の政府庁舎で開かれた危機管理対策会議で、「輸出入銀行が企業の輸出手形を買い入れるなどの方法で都市銀行に外貨を支援する。ひとまず外貨準備高から50億㌦を輸出入銀行に供給する方針だ」と明らかにした。また姜長官は、「外貨の流動性不足を解決するためには、格別の対策が必要だ。外貨準備高はまさにこのような時のためにある」と強調した。

 これと関連して、財政部の崔ジョング・国際金融局長は、「輸出入銀行を通じた外貨の供給は輸出手形の購入だけでなく、資金市場を通じて銀行に直接貸し出すことも可能だ。まず50億㌦を支援し、必要に応じてさらに拡大する」と述べた。

 政府は、早ければ来週初めにも輸出入銀行にドルを投入する考えだ。資金の用途については、都市銀行が買い入れた中小企業の輸出手形を再び買い入れ、資金繰りの苦しい企業を救済に充てる。

 政府が外貨を直接銀行に貸し出すのは、「第2の通貨危機」が憂慮されるほど金融市場で外貨不足が深刻になっているため。しかし、国際的な信用不安がいつまで続くのか不透明なことから、外貨を最大限節約すべきだという指摘もある。

 先月中旬、米リーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけに金融界は深刻なドル不足に陥った。銀行は当面するドル需要をまかなうことができず、オーバーナイト(金融機関がコール市場で短期資金を借り、翌日返済する取引)でしのいでいる状況だという。このため、政府は9月26日、外為スワップ市場に100億㌦以上の資金を投入したが、ドル不足は解消されなかった。スワップポイント(先物と現物為替の金利差)も政府の介入で改善するかにみえたが、再び悪化した。

 今回の政府の外貨貸出は、放置すれば金融界がパニックに陥る可能性があると判断したためだ。問題は外貨準備高だ。韓国銀行によると、9月末現在の外貨準備高は2397億㌦で前月比35億㌦も減少。準備高ピークの今年3月と比較すると245億㌦も減少している。外為現物とスワップ市場への介入、銀行への直接支援で外貨準備高は今後さらに減る可能性が大きい。

 さらに、今後1年以内に償還しなければならない対外債務が今年6月末現在で2223億㌦に達しており、使用可能な外貨は170億㌦程度にすぎないと指摘されている。金融関係者は、外貨準備高をむやみに使えば、深刻な危機に見舞われたときに対処できなくなると憂慮している。

 一方、銀行は、政府の直接貸出を「ドル不足を解決する最善の方法」と歓迎ムードだ。しかし、世界的に流動性不足が深刻化し、銀行だけでなく、企業や個人までがドル確保に動いているときに、政府の市場介入には限界があるという見方が強い。

 金融アナリストは、「通貨危機時に政府が銀行に外貨を直接貸し出したが、適時に返済されなかった。これが、通貨危機を深化させた一つの要因だ」と警告している。