米国発の金融危機に伴う世界的な実体経済沈滞の中、輸出は辛くも2ケタの伸びを記録し、輸入増加率が原油価格の下落で大幅に鈍化したため、10月の貿易収支は5カ月ぶりに黒字転換した。知識経済部によると、10月の輸出は前年同月比10%増の378億9000万ドル、輸入は同12%増の366億7000万ドルを記録、貿易収支は12億2000万ドルの貿易黒字を記録した。月間では、5月以来5カ月ぶり、今年2度目の黒字となる。
今年に入って輸出は絶好調で、1~10月の輸出増加率は22・7%に達している。10月の伸びが10%台に急落したのは、対中輸出がマイナスに陥るなど世界的金融危機の影響をもろに受けたため。急激なウォン安で輸出条件は好転したはずだが、金融危機の影響の前に吹っ飛んだ形だ。対日輸出も5・5%増にとどまり、ASEAN(東南アジア諸国連合)向けも6・3%増と全体輸出増加率を下回った。
品目別にみると、主力輸出品の半導体がマイナス26・4%、自動車がマイナス14・3%、家電がマイナス28・4%、コンピューターが37・0%と軒並みダウンした。これに比べ、船舶117・8%、石油製品45・2%、鉄鋼製品40・1%、無線通信機器13・5%とそれぞれ高い伸びを示した。
経済専門家らは、「世界的な金融危機が実体経済に及ぼす波及が本格的に出始めた。先進国の景気沈滞で途上国に対する輸出も鈍化している。これまで20~30%の伸びを示した輸出増加率も来年には一ケタに委縮する恐れがある」と分析している。
一方の輸入増加率は、1~10月で34・2%だった。10月の伸びが12%にがくんと低下したのは原油価格が下落し原資材価格の高騰も止まったからだ。KDI(韓国開発研究院)研究者は、「来年には世界的に景気が悪化し、輸出は大幅ダウンするが、輸入増加率はゼロ近くになる可能性もある」と予測した。
このようにみてくると、貿易収支は黒字転換したが、質的面ではむしろ憂慮すべき点が多い。
1~10月の貿易赤字は134億5000万ドルに達しており、李允鎬・財政経済部長官は「11~12月に40億ドルの黒字を出しても、年間で90億ドルの大幅赤字は避けられない」と見ている。この赤字規模は96年(206億ドル)以来最大で、アジア通貨危機当時の97年(84億5000万ドル)を上回る。