韓国とペルーの自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉が来年上半期に開始される。APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に出席するため南米を訪れていた李明博大統領が、リマでペルーのアラン・ガルシア大統領と首脳会談で合意したもので、両国の貿易と経済交流をさらに発展させていくためにはFTAの締結が不可欠だとの認識で一致した。
両首脳は会談で、両国の通商関係が急速に発展していることを評価し、FTAの締結でさらに貿易と経済協力の拡大をめざす考えで一致した。また、企業の円滑な経済活動を阻害している税制問題を解決するため、二重課税防止協定を早急に締結し、両国間の投資を活性化させることに合意した。さらに、韓国の資本と技術、ペルーの資源・エネルギーを戦略的に結合し、相互の経済発展をめざすことでも意見が一致した。
韓国とペルーの貿易高は約15億ドル(2007年)に過ぎず、他のFTA推進国と比べて経済交流が相対的に遅れている。しかし、生産量基準で銀が世界1位、亜鉛と銅が3位、金が5位という資源大国のペルーとFTAを締結し、韓国の資本と技術を活用して資源開発を進めれば、大きな成果が得られる。
ペルーは鉱物資源を土台に、近年は平均8%以上の経済成長を遂げている。韓国がペルーと手を組めば、南米の前進基地として活用できるメリットがある。ペルーにとっても、韓国の資本と技術は魅力で、FTA締結に強い期待を示し、すでに両国は今年5月にFTA交渉に向けた共同研究作業を終えている。
韓国は、ペルーの隣国チリとFTAを締結し2004年に発効しているが、貿易額が発効前の18億ドルから現在は78億ドルに4倍以上に増えている。このため、FTA締結によってペルーとの貿易も急増すると期待されている。現在、韓国はペルー向けに自動車や石油化学製品を輸出し、鉄、銅、亜鉛などの資源を輸入しているが、貿易収支は5億ドルの赤字となっている。
一方、李明博大統領は首脳会談で、ペルーの石油化学工場建設プロジェクト(30億ドル規模)、軍の装備近代化、インフラ整備事業に韓国企業の参加を要請した。ペルーでは、「秋の童話」「冬のソナタ」「私の名前はキム・サムスン」といった日本でもヒットした韓国ドラマが相次いで放送され人気を呼んでおり、最近でも国営放送が韓国ドラマ「チャングムの誓い」を夕方のゴールデンタイムに放送するなど、韓流ブームが起きている。このため、ペルー国民の間に韓国に対する親近感が生まれ、韓国企業の進出も歓迎を受ける期待されている。