世界的な経済危機の余波で国内の自動車メーカーが相次いで減産に突入したが、関連する自動車部品や鉄鋼業界にもその影響が広がり、深刻な事態となっている。現代、起亜、GM大宇などの自動車生産台数が減ったことによって、これら企業に納品している部品メーカーの仕事量が激減、稼働中断や人員削減に追い込まれている。自動車用鋼板を供給している鉄鋼業界も生産調整に入るなど、自動車業界の減産は関連業界の先行きに暗い影を落としている。
現代自動車と金属労組蔚山支部によると、自動車部品メーカーの徳洋産業が希望退職者の募集を開始した。現代自の協力会社が人員削減に踏み切るのは初めて。
徳洋産業は先月末、社内報を通じて「全従業員を対象に50人の希望退職者を募る」と発表した。労組は、一方的な会社側の希望退職者募集に戸惑い、希望退職者が少なければ本格的な構造調整に入るとみて会社側と闘う構えをみせている。
運転席の計器盤などを生産し、現代自に納品している徳洋産業の従業員は約790人。同社がある蔚山市北区の孝門工団には韓一理化や世宗工業など現代自蔚山工場の協力会社(20余社)がひしめいている。徳洋に次いで、これらの協力会社も人員削減などの対応が不可欠とみられている。
GM大宇自動車の協力会社である太原物産も、仁川工場の稼働を12月15日から中断すると発表した。太原物産は、GM大宇の操業中断による出荷量の減少と在庫負担で生産中断が避けられなくなったと説明、来年1月5日から再稼働する予定だ。しかし、GM大宇の操業再開が遅れれば、稼働中断期間が長引く見込みだ。
部品業界では、このような自動車業界の構造調整の余波が、徳洋産業や太原物産を皮切りに協力会社全体に波及するとみている。
一方、鉄鋼メーカーの現代ハイスコは、自動車用鋼板の生産量の調整に入った。同社の自動車担当者は、「これまでは注文量が多く、生産ラインを100%稼働させてきたが、状況が一変した。今後は空いたラインを別の製品に活用する以外にない」と話し、冷延鋼板工場を改修し、ラインを新製品のテストに活用していく考えを示した。
東部製鋼も、第4四半期(10~12月)の自動車用冷延鋼板の生産量を当初の計画より10万㌧減らす方針だ。同社は冷延鋼板を年間270万㌧製造してきたが、自動車業界の需要が減り、生産調整に踏み切る。国内最大手のポスコは、まだ減産計画を打ち出していないが、長期的には減産が避けられないと判断し、海外への供給を増やすなど新たな販路の確保に乗り出した。