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2008/09/26

<韓国経済>第2ロッテワールド許可へ

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    高さ555㍍の超高層ビルで構成される「第2ロッテワールド」の建設用地」。政府の許可が下り次第、工事に入る

 政府は、李明博大統領主宰の「投資活性化と働き口拡大のための第2次官民合同会議」を青瓦台(大統領府)で開き、軍の反対で頓挫していたロッテグループの第2ロッテワールド事業を許可するとともに、大企業の放送事業参入規制を緩和するなど、企業の経営環境改善案やサービス産業の先進化案を確定した。しかし、企業が最も望んでいた首都圏での工場建設許可など投資規制緩和、非正規職保護法の改正に関しては踏み込んだ打開策が提示されず、財界は不満を募らせている。

 同会議で政府は、ロッテグループが強く求めていた112階建て(高さ555㍍)の超高層ビルを含む第2ロッテワールド開発事業について、「関係機関が実現可能な代案を積極的に検討中だ。年末までに結論を下す」とし、事実上承認方針する方針をを公式にあきらかにした。また、大企業の衛星放送への出資制限(現在49%)を廃止し、原則的に禁止されている地上波DMB(デジタルマルチメディア放送)への出資も49%まで認めることを決定した。

 このほか、▽基幹通信事業者(KTとSKテレコム)に対する料金認可制の廃止▽有線通信事業者へのR&D(研究・開発)費負担義務の廃止▽弁護士など専門資格者制度の改善▽総合人材サービス会社とヘルスケアサービス会社を許可――などを推進する。

 基幹通信事業者の料金は、これまで政府の認可制だっかが、今後は申告だけで料金の改正ができる。有無線の区別なく賦課してきたR&D費負担金は、無線分野のみに限定し、有線分野は段階的に負担金を下げ、2013年には完全撤廃する。

 このほか、弁護士、医者などの国家資格を持たなくても、弁護士や医者を雇い、法律事務所や病院を開設することができるようになる。さらに職業あっせん、職業情報提供、人材派遣、職業訓練などに分かれている業種区分を廃止し、これらの事業をすべて包括したトータル人材サービス業を新設する。これまで医療法によって不正行為とみなされてきた健康コンサルティングなどヘルスケアサービス事業も許可する方針だ。

 今回の官民合同会議で、財界が最も関心を抱いていたのが、37件の規制緩和で、中でも首都圏の開発規制緩和が焦点となっていた。しかし、政府は「今後、地域発展基盤の構築と均衡開発に合わせ、首都圏管理制度の改善案を用意する」と述べたにすぎず、具体的な改善案は提示されなかった。首都圏の規制緩和問題については、自治体間の意見の差が大きく、解決にはかなりの時間がかかるとみられている。

 これに伴い、財界の不満が高まっている。工場の増設が26年間も先送りされてきたハイニックス半導体の利川工場及びKCCの驪州工場は、来年も投資計画のめどが立たないと憂慮している。

 財界が絶えず求めてきた「非正規職保護法(非正規職法)」の改正も、今回の計画には含まれなかった。財界の要求事項は、▽非正規職員から正規職員に転換する期間を現行の2年から3~4年に延長▽同法の零細企業(100人未満)への適用を来年から2012年に猶予――など。政府は実態を分析し、年内に補完策を講じるとしているが、同法によるトラブルで、労使紛争が頻発しており、早期改正を望む声が高まっている。