国際通貨基金(IMF)が最近、「韓国は規制緩和、民営化、減税などを通じて、長期的な経済成長を図らければなければならない」とする報告書を発表した。また、現在のウォンの為替レートは適正水準であり、通貨政策の焦点を物価に合わせ、インフレの抑制に力を注ぐよう提言している。
IMFは、「2008年 韓国経済の年例協議報告書」で、韓国の実質GDP(国内総生産)成長率は、07年に5%を記録したが、今年は対外経済環境の悪化で4・1%へ下がると予想されると指摘し、「韓国経済がいま直面している危機は、ほとんどが対外的な要因によるものだが、さらに景気が下降する可能性が高い。不安定な国内政治も経済展望を暗くしている」と警告を発した。
IMFは、4月に韓国の経済成長率を4・2%と予想し、来年度の成長率については、今年より多少向上き4・3%と展望していた。IMFは、長期的な経済成長のためには、規制緩和、政府系企業の民営化、減税などの政策が不可欠だと指摘しているが、直面している高齢化問題から、税制改革は長期的な財政の健全性を損なわない範囲で実施することが必要だと指摘している。
一方、最近、韓国の金融界で問題となっている為替の適正ラインに関してIMFは、現在のウォンレートが適正だとの判断を下した。金融リスクについては、「最近、短期の対外債務が急激に増えたために、リスクを注視する必要性がある。銀行の全般的な貸出しの質は健全だが、経済成長の鈍化によって中小企業向けの貸出構造が脆弱化する可能性がある」と分析している。
原材料価格の上昇によってインフレ圧力が強まり、韓国の消費者物価は今年6月に5・25%に上がり、韓国銀行の目標値を超えた。これについてIMFは、韓国銀行は通貨対策の焦点を引き続きインフレ対策に合わせるべきだと勧告した。
また、輸出は堅実な増加をみせてはいるが、経常収支が交易条件の悪化によって赤字に直面、輸入が原資材価格の上昇でさらに急増し、サービス収支の赤字規模も依然として大きいと指摘した。こういった状況から、IMFは韓国の今年の経常収支の赤字幅がGDPの1・25%になり、来年はやや改善し1%程度になると展望している。