北京五輪で韓国のIT(情報技術)が脚光を浴びている。各競技場や北京市内の主要施設で韓国企業が提供している多機能携帯電話やナビゲーションシステム、地下鉄の料金自動決済システムなどが使われ、韓国の最先端技術が世界の人々を驚かせいる。五輪公式スポンサーのサムスン電子など韓国企業は、北京五輪を絶好の機会ととらえ、マーケティングを強化している。
無線通信の公式スポンサーとなっているサムスン電子は、北京五輪組織委員会と各国の選手団に携帯電話「オリンピックフォン」で情報をリアルタイムで提供するサービスを行っている。サムスンは、五輪専用の移動体通信システム「WOW(ワイヤレス・オリンピック・ワークス)」を独自に開発、専用の携帯電話を通じて、各競技の日程、出場選手のプロフィール、試合結果、一般ニュース、天気予報、観光情報まで、さまざまな情報を提供している。Eメールやメッセンジャー機能も完備し、競技場内では無線としても使えるとあって、組織員会のスタッフに大好評だ。
これに先立ちサムスンは、今年5月に組織委員会にオリンピックフォン1万5000台を提供した。同社の関係者は、「世界的な携帯電話メーカーとして、技術力を全世界にアピールできる絶好の機会になる」と期待を寄せる。
一方、ITソリューションの開発会社フリーサットは、今年4月に中国のIT企業TGI&Tと契約を結び、五輪車両に搭載するナビゲーション1000台を供給した。このナビは、7インチの画面に二つのDMB(デジタルマルチメディア)放送を映し出せる「デュアルDMB機能」を備え、中国の交通情報と五輪競技の実況放送が同時に見られることから、組織委員会から好評を博している。
このナビは、五輪期間中、北京市内を走るすべての五輪車両に搭載されるため、フリーサットの中国市場開拓に弾みがつくとみられる。
このほか、ITサービス会社のサムスンSDSが、地下鉄の乗車券発券及びICカードで料金が支払えるAFC(料金自動決済)システムを北京市の地下鉄に提供し、話題となっている。SDSはフランスのタレス、日本信号など世界の有力企業と競合して事業権を獲得、北京の地下鉄10号線の22カ所と五輪支線(8号線)の4カ所の計26カ所にAFCシステムを設置、総事業規模は2600万㌦に達する。