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2008/03/21

<韓国経済>資源外交を最優先課題に

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    エネルギー資源に乏しい韓国にとって海外での油田開発など資源の確保が急務。このため外交通商部は資源外交を最優先する

 外交通商部は、青瓦台(大統領府)への業務報告で、今年の外交目標として▽経済を生かす外交▽安保をしっかりさせる外交▽世界に寄与し、信頼される外交――の3項目を提示した。特に資源外交を掲げる李明博大統領の方針に沿って、資源国への公館を増やすなど、総力を挙げて資源外交に取り組む方針だ。報告を受けた李大統領は、「国際環境は厳しいが、みなで力を合わせれば6%前後の成長目標の達成は可能だ。そのために最も重要なのが資源外交だ」と強調した。

 業務報告の中で外交通商部は、経済再生を支援するため、効率的なエネルギー・資源外交を推進し、成長動力の確保に向け多角的なFTA(自由貿易協定)外交を展開していくと強調した。

 まず、エネルギーの調達基盤を安定させるため、ロシアと中央アジア、中南米、東南アジアなど資源の豊富な国家との首脳外交を積極的に推進する。また、資源外交への関心が高い韓昇洙・国務総理の海外歴訪先も、中央アジア、アフリカ、モンゴルなど資源国を中心に活発に展開する方針だ。

 海外での資源開発は、当事国政府の影響力が強いことから、大統領をはじめ政府高官のエネルギー外交が不可避となる。このため、外交通商部は、エネルギー・資源国の公館長を集めた大統領主宰の資源外交会議を上半期中に開く。現在、エネルギー・資源国にある公館は、ロシアやサウジアラビアなど32カ所だが、これを50カ所に増やす方針だ。さらにカメルーンとコンゴ民主共和国、キルギススタンなど資源富裕国に対する大使館の新設を推進し、先進国に集中している在外公館の人材を資源国に配置することも検討している。

 一方、資源国との協議体構成にも積極的で、韓国と中東、アフリカ22カ国の政府、王室、企業家などが参加する「中東ソサエティ」を5月26日に設立する。これを通じて中東、アフリカとの関係を強化し、韓国企業の進出チャンネルを確保する考えだ。資源国に文化芸術団を派遣したり、韓国映画祭を開催することにも力を注ぐ。

 FTA(自由貿易協定)外交も強化する。韓米FTAの早期批准とEU(欧州連合)とのFTA交渉妥結が当面の課題だ。また、首脳会談などで韓日、韓中間のFTA交渉にも弾みをつけ、ロシア、湾岸諸国などの資源国とのFTAも推進する計画だ。

 このほか、米国や日本、中国などの周辺国との関係強化、北朝鮮の核問題解決を安保の最優先課題としている。特に韓米関係について外交通商部は、「過去数年間、米国と疎遠な部分があったが、これを修復し、未来志向的に発展させていく」と報告した。

 韓米同盟修復の第一歩は、来月中旬に予定されている李大統領の訪米になるとみられる。また、韓米FTAの批准によって韓米同盟を政治・軍事部門から経済分野にまで拡大する意向だ。日本とは、首脳同士のシャトル外交を再開し、韓日友好協力の新時代を開き、中国とは経済だけでなく政治・軍事的側面でも関係を強化していく方針だ。

 世界10大経済大国として、国際貢献にも力を注ぐ。このため、今年の政府開発援助(ODA)を初の1兆ウォン規模に拡大する。また、ODAを現在のGNI(国民所得)比0・1%水準から2012年には0・2%に引き上げる計画だ。さらに、韓国国際協力団(KOICA)の海外奉仕団を今年の830人規模から来年は1000人水準に増員する。