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2008/03/14

<韓国経済>為替に異変、ウォン安止まらず

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    ウォン安が進み、23カ月ぶりに1㌦=970ウォン台まで下がり、対応に追われる外換銀行のディーラーたち

 米の景気低迷でドルが下落を繰り返し、主要国家の通貨が軒並み切り上がっているのに反し、韓国ウォンはドル安とともに下落し、韓国経済に新たな不安が広がっている。この原因は、原油高や原資材の価格高騰によって輸入が増大し、決済通貨であるドルの需要が拡大していることや、外国人投資家の韓国株売り越しによるもので、ウォン安は国際収支の悪化を助長すると懸念されている。

 ソウル外為市場は、ウォンの対ドルレートが、年初以来最大幅の21・9ウォンも下がり、1㌦=971・50ウォン(13日)をつけた。先月29日から急速にウォン安が進み、06年10月以来1年4カ月ぶりに最安値となった。

 その一方で、日本円は、昨年末の1㌦=113・19円から102・42円まで急騰し、2000年1月以来の最高値を記録した。ユーロも0・6512ユーロで、最高値を更新。中国元、シンガポールドル、台湾ドルなどの通貨も米ドルの下落と連動して一斉に切り上がった。韓国と産業構造が似ている台湾は5%以上も急騰している。

 これに対して、韓国ウォンのみ下落するという異変が起きている。これは、さまざまな要因が複合的に作用したためとみられるが、経常収支の赤字が作用していると指摘されている。商品収支とサービス収支で構成される経常収支は、今年1月に25億9800万㌦の赤字に陥った。月間では11年ぶりの最大赤字で、貿易収支は5年ぶりの赤字となった。輸出が15・4%増えたが、輸入は31・1%も急増したためだ。

 過去11年間、経常収支の黒字基調が続き、外為市場ではドルの供給が需要を常に上回っていた。その結果、ウォンが持続的に上昇してきたが、最近、事情が一変した。原油価格などの国際原資材価格が高騰し輸入負担が急増、支払いに充てるドルの需要が大幅に高まった。これによってドルの価値が高まり、逆にウォンが下がるという構図になっている。

 外国人投資家が韓国株を大量に処分し、これをドルで持ち出していることも為替下落の一因だ。昨年から続いている外国人の売り越しは沈静化する気配がみられない。証券先物取引所によると、外国人は年初から3月7日までの間に11兆9500億ウォンを売り越した。これは昨年の売り越し(24兆7000億ウォン)の約半分に当たり、深刻な事態となっている。

 また、外国人株主に対する企業の配当が4月に集中することから、ドルの需要がさらに膨らみ、経常収支の赤字が膨らむと懸念されている。