国内外の経済環境の急激な変化によって、発足したばかりの李明博政権は多くの難題に直面している。国際現資材価格の急騰によって物価上昇力が強まり、米サブプライム(低信用者向け住宅ローン)問題で金融市場は依然として混乱が続いている。輸出も非常事態で、貿易収支と経常収支は赤字基調に陥った。こういった状況を新政権は同打開していくのか。新政権の姜萬洙・経済チームが抱える物価対策など、喫緊の課題を追う。
経済専門家によると、新政権の経済政策で最初の挑戦となるのが物価だ。財政経済部によると、消費者物価上昇率は昨年10月に前年比3%を記録し、11月3・5%、12月3・6%、今年1月は3・9%と毎月上がり続けている。
輸入物価も前年比21・2%上昇し、韓国経済に深刻な影を落としている。物価急上昇の要因は、原資材だ。特に、トウモロコシ、豆、麦などの農産物の価格急騰が生活物価を押し上げ、庶民生活を脅かしている。国際穀物価格の高騰で、これを原料とする配合飼料の消費者価格は6-7%上昇、小麦粉が上がり、めん類、菓子なども値上げが相次いだ。
これを重く見た新政権は、「物価安定対策会議」を発足させ、総合物価対策に着手した。同会議は企画財政部が主管して毎月開き、品目別に値上がり幅をモニターし、原因を分析したうえで対策を講じる。
生活必需品の値上がりが続く中、李大統領は公共料金の抑制を初閣議で指示、まず3月中にガソリン税を引き下げる。
一方、ソウル・首都圏でアパートの伝貰(敷金)が急騰している。伝貰が上がると不動産価格の上昇につながることもあり、政府は警戒を強めている。不動産業界によると、ソウルの伝貰上昇率は、年初に比べて0・37%も上昇した。ニュータウン・再開発事業による移住及び「私教育」需要、中小型アパートの供給不足などが複合的に作用し、伝貰を引き上げている。不動産関係者は、「しばらく不動産市場は沈静化していたが、規制が緩和されれば住宅不安が再燃する可能性もある」と指摘する。
こういった不安はあるものの、金融市場は比較的安定している。金利引き下げによって金融機関の資金がMMFなどに流れ込んでいるうえ、国内外の証券市場の低迷によって株式型ファンドから離脱した資金が定期預金に再び集まっているためだ。
今年1月の銀行の預金量は12兆1000億ウォンも増えた。また、昨年12月中旬から外貨資金事情も大きく好転し、安定している。
為替は、2月27日に1㌦=6・30ウォンも下落し、941・60ウォンをつけた。昨年平均の925ウォンよりウォン安で、輸出企業にとっては好材料だが、その分、輸入負担が増し、貿易収支の悪化を招く。為替対策も新政権の大きな課題となりそうだ。