ここから本文です

2009/07/24

<韓国経済>大型プラント49億㌦で受注・建設3社

  • 大型プラント49億㌦で受注・建設3社

    建設会社の海外受注が増えている(現代建設がイランに建てたガス処理工場)

  • 大型プラント49億㌦で受注・建設3社②

 韓国建設大手の現代建設、GS建設、現代重工業の3社が、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)傘下のガスコ社(GASCO)が発注した大規模ガスプラント工事を49億ドルで受注した。韓国の建設会社としては、アルジェリア(47億ドル)、サウジアラビア(28億4000万ドル)に続き、今年3番目に受注した大型事業となる。

 このプロジェクトはアブダビ地域に散在するガス田を一括して開発する大型プロジェクトで、総工費は100億㌦。3社が受注したのは全5工区のうち3工区だ。このうち現代建設が受注したのは第2工区で、アブダビから南西に約140㌔㍍離れたハブシャン地域に天然ガソリン貯蔵施設と、廃水処理・動力施設を建設するもの。工事期間は44カ月で、受注額は17億200万㌦だ。

 GS建設は、英国系企業のペトロファック社とコンソーシアムを組み、ルワイス工業団地に建設される天然ガス精製工場(第4工区)を22億㌦で受注し、同工区全体の55%に当たる12億㌦の権益を確保した。現代重工業は、ガスを海上から陸上プラントへ送るための設備工事(第1工区)を10億㌦で受注した。

 受注額で比較するならば、今年最大のプロジェクトとして、サムスンエンジニアリングと大林産業、SK建設の3社が今月初めに受注したサウジアラビアのジュベイル製油プロジェクト(28億4000万㌦)を上回る。国内建設会社が上半期(1~6月)に海外から受注した工事は総額131億2911万㌦で、昨年同期(259億1047万㌦)の半分程度だ。グローバル経済危機と原油価格の下落により、中東の産油国が工事の発注を相次ぎ延期もしくは取り消したためだ。

 年初は、クウェート国営石油公社が発注した精油施設工事(60億㌦規模)や、タタールスタン共和国のプラント建設(9億㌦)などが中止となった。そのため、韓国政府と建設業界は今年の受注目標を昨年(467億㌦)より低い400億㌦に引き下げたほどだ。

 しかし、ここにきて原油価格が回復、資源需要の減少にも底打ち感が出たことから、大型案件が動き始め、下半期の受注増への期待を膨らませている。業界では、今年の受注目標の400億㌦は達成できるのではないかとの見方も出ている。近く入札が行われるサウジアラビアの西部都市ヤンブーでのプロジェクトや、ペトロケミア社のABSプロジェクト、さらにはイランやクウェートでのガス開発なども受注が有力視されている。

 アブダビでは日本の建設大手の日揮がイタリアのテクニモントと共同で、天然ガス処理工場建設を47億㌦で受注している。今後、競争が激化するが、韓国企業の価格競争力や、日本や欧米の企業にも劣らない管理能力の高さも認められはじめており、展望は明るい。韓国企業はアブダビ、カタール、サウジアラビアなど財政構造が堅実な中東国家での受注を狙う。

 国内住宅販売の低調で資金調達に苦しんでいる建設業界だが、海外での相次ぐ大型受注は今後の業況回復につながるだけに、追加受注への期待が高まっている。