韓国の知識経済部が発表した7月の輸出入動向資料によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は51億4000ドルの黒字となった。これで貿易収支は2月から6カ月連続の黒字となった。輸出と輸入とも前年同期比ではなお大きなマイナスだが、前月比では増加に転じた。輸出入額も603億ドルに拡大した。これは昨年の金融危機以降で初めてだ。対中輸出などで輸出減少幅が縮小し、資本財の輸入にも改善の兆しが現れるなど、景気回復への期待も高まっている。
知識経済部によると、7月の輸出は前年同期比20・1%減の327億3000万㌦で、輸入は同35・8%減の275億9000万㌦となった。これで今年の貿易収支黒字の累計額は262億3000万㌦に達した。1月に460億㌦に落ち込んでいた月間貿易総額(輸出+輸入)も603億1000万㌦に拡大した。
また、輸出入を前月との比較で見ると、輸出が9000万㌦増、輸入が同22億3000万㌦増となった。輸出入ともに前月実績を上回ったのは、米国発金融危機の影響で、世界の貿易規模が急激に縮小し始めた昨秋以降では初めてのこと。これにより、貿易総額が縮小しながら黒字が増える「不況型黒字」が終息に向かうのではないかと期待も出ている。
7月の特徴は、半導体製造装置や工作機械など資本財の輸入減少率が改善したことだ。資本財の輸入増加率は前年同月比13・1%減となったが、上半期の(1~6月)26・3%減に比べれば減少幅が縮小した。なかでも、半導体製造装置の輸入減少率は上半期の70・8%から29・7%に縮小し、工作機械も17・5%から4・4%に改善した。
資本財の輸入が増加傾向にあることは、今後、製造業を中心に設備投資が本格化し、輸出増へと結びつく可能性を示唆している。知識経済部も、資本財の輸入増について、「下半期に、輸出と設備投資が回復することを確信させる内容だ」と分析した。
輸出では最大市場の中国に対する輸出減少傾向が鈍化し、液晶機器など一部の主力品目の輸出が増えた。7月1日から20日までの対中輸出は前年同期比15・7%減にとどまり、減少幅が6月(同22・9%減)と5月(同22・8%減)に比べ縮小している。
知識経済部関係者は「中国の内需浮揚効果が鮮明となり、特に、液晶パネルの対中輸出は昨年同期に比べ2倍以上伸びている」と説明した。ただし、欧米や日本などの先進国向けや、中南米、ASEAN(東南アジア諸国連合)などへの輸出減少率は20~30%台で、不振が続いている。
輸出品目別では、液晶パネルなど液晶機器の輸出が前年同期比33・6%増と、確実な回復を見せた。中国や北米、EU(欧州連合)などで液晶テレビの需要が増えているためだ。また、今後3年分の受注を確保している船舶も前年同期比7・6%増と回復傾向を見せた。
半導体と自動車はそれぞれ同15・5%減、同18・1%減となったが、減少幅は全体の輸出減少率(20・1%)より低い。
特に半導体は中国の景気浮揚策による需要増加と競争メーカーの減産により、韓国企業の生産量が相対的に増加した。今後どれだけ早い時期に価格が回復するかに関心が集まっている。自動車も、先月、欧州市場での販売台数が2・4%増となるなど回復モードに入っている。